FC2ブログ

月天心<3>

優しさが、痛い事もある。












何度か試してみたが、
結局ドレイスに魚は獲れなかった。

獲る為の道具を作るのも、
食べられる木の実や果実を見分けるのも、
ガブラスが居ないと心許なかった。

2人の剣は川底に沈んでいるのをガブラスが見付けて来た。

そのついでにガブラスは周囲の崖にヒュムが簡単に昇り降り出来そうな場所が無い事を確認して、
すぐに捜索隊が組まれても今日明日見付けて貰える可能性は皆無に等しい事を教えてくれた。
どれだけ流されたのか、崩落した崖はついに見つからなかったらしい。


ガブラスは川が近い事だけは幸運だったと言う。

何日か食べられなくても死にはしないが、
水が無ければヒュムは生きてはいけないと言った。

ドレイスは、違うと応じた。

自分1人ではどう考えても生きては行けない、と。

現にドレイスは何の役にも立っていない。

生きて行く為に必要なものは全てガブラスが用意してくれた。

言ったらガブラスは少し困った様に笑った。

あまりに優しい表情に見惚れている間にガブラスは一つ大きな伸びをして、
ゆっくりと首を振って言った。

「俺は貴女が一緒に居てくれて心強い。」

ドレイスは、泣きそうになった。



それから何日が経過したのだろう。


抜ける様な青い空を見上げながら、
ドレイスは溜息を吐いた。

獣や魔物を警戒し、夜通し見張ったガブラスは今は洞穴の奥で眠っている。

幾度寝ずの番を代わると言ってもガブラスがその役目を譲ってくれる事は無かった。


(本当に・・・何の役にも立たんな・・・。)

ゆっくりと、目を閉じる。

これが単なる野営ならばドレイスにも何とでもできた。

事前に役割分担を決めて、
食料は人数分持参して。

決められた時間に決められた事をして、
決められた通りに休む。

それなら出来るのだ。

ただ、今回の様に突然降って沸いた状況で役に立つ事は殆ど無い。


周囲を見回したドレイスは何の気配も無い事を確認して、
洞穴に入った。

薄暗い中で、ガブラスは壁面に背を預けて眠っていた。

ここで何度も寝姿を見たが、
ガブラスは横になって休もうとはしなかった。

不測の事態に備えての事だろう。

俯いた顔は幾らか痩せた。

目の下に刻まれた昏黒は日毎色を濃くしている。

そっとガブラスの頬に手を当てたドレイスは、
眉を寄せた。

冷え切った肌は彼に限界が近い事を教えてくれた。

それでも彼は決して弱音を吐かないのだろう。

ドレイスに負担を掛けようとはしないのだろう。

己には徹底して厳しい癖に、
他人をどうしてここまで甘やかせるのか。

全く、損な性分だと思う。


「馬鹿だな・・・。」

だから、ドレイスはこんなにもガブラスが愛しいのだ。

優しく呟いた言葉に応える者は居ない。


指先で、微かな寝息を吐き出す唇に触れる。

少しかさついた感触に苦笑いをしたドレイスは、
そっと、唇を重ねた。

大切な宝物に触れる様に。

想いと、祈りを込めて-------------


男の寝込みを襲う令嬢の話でした。

・・・すみません。
元も子も無い事言いました・・・。

いやでもこれぐらい環境が整わないとガブラス相手に満願成就なんて・・・ねえ・・・?
(誰に聞いてる)





日記~。PageTop拍手御礼~!

Comment

Commentの投稿

 管理人だけに表示する

TrackBack

http://gamecomic.blog27.fc2.com/tb.php/912-a91a06c9

プロフィール

高槻幽炎

Author:高槻幽炎
声フェチでオッサン好きのヘタレ。
ビバガブラスw

カレンダー

06 | 2019/07 | 08
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カテゴリ
月別アーカイブ
最新トラックバック
最新コメント
最新記事
ブロとも申請フォーム
QRコード

QR

リンク
投票所
RSSリンクの表示
検索フォーム