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月天心<2>

所謂遭難ってやつですね。

こうでもしないと先ず2人きりになれない気がしたんだ・・・。
公安総局人数多過ぎ。







比較的近くに洞穴が見つかったのは幸運だった。

然程広くも深くも無いが、
大人のヒュム2人が入るには充分の大きさで、
入り口を折った木の枝で塞ぐ頃には空には月が浮かんでいた。

意識を失ったままのドレイスは洞穴の奥で眠っている。

エアロで取り急ぎ乾かしたガブラスのマントは彼女を包むのに程良い長さで、
穏やかな寝息が乱れる事は無かった。

洞穴の入り口に腰掛けたガブラスは、
予備に持っていたナイフを目の前に翳した。

2人とも岸に上がった時に双剣を持っておらず、
今ある武器はこの小振りなナイフだけである。

剣の重量を考えると早々流されるとも思えないから
夜が明けたら捜索に出なくてはならない。

それまでは時折外を通る魔物が洞穴に気付かない事を願うばかりだ。

ナイフでも戦えない事は無いが矢張り心許ない。

戦っている間にドレイスが襲われてしまえば目も当てられなかった。


枝の隙間から天を仰ぐ。

星々の間に浮かぶ月は半分ほどしか無かったが、
外の様子を窺うには充分な光量を放っていた。

疲労は眠気を誘うが、休むわけにはいかない。

今のガブラスには自分だけではなく、
ドレイスの命もかかっているのだ。

小さな溜息と共にナイフを腰に戻したガブラスは、
引き寄せた膝に腕を乗せた。




「・・・・う・・・・?」

何かを削る様な音に目を覚ましたドレイスは、
見慣れない景色に暫し思考を停止させた。

ごつごつとした岩肌と、
視線の少し先から差し込んで来る日の光。

ややあって蘇る記憶と共に状況を把握して、
慌てて外に飛び出すと、
手頃な岩に腰掛けたガブラスがナイフで小さな木の枝を削っていた。

傍には太めの長い枝が同様に先を削られて置いてある。

「ガブラス・・・・。」
「目が覚めたか?」
「ここは・・・?」

周囲を見回したドレイスの視界に入るのは、
然程幅の無い川と自分が立っている河原。
所々生えている草木に、あとはドレイス達を取り囲む切り立った崖だった。

「俺にも詳しい位置関係はわからん。だがそれなりに流された様だ。」

少なくとも視界に入る範囲に崩落を起こした崖は無い。

削った小枝を纏めて置いたガブラスは、
槍の様な枝を手にすると川に入った。

「ガブラス?」
「久しぶりだから上手く行くかどうかはわからんが・・・。」
「?」

手製の槍を掲げ、水面を見つめていたガブラスは不意にそれを川の中に突き入れる。

すぐに手首を返して引き上げた槍の先は魚を刺し抜いていた。

「・・・・・・・!」
「ふむ。勘は鈍らんものだな。」

目を見開いて驚いているドレイスに、
ガブラスは苦笑いをしながら槍から抜いた魚を河原に置いた。

「田舎育ちだからな。野山を駆け回ったり川で遊ぶ事が当たり前だった。」

調子に乗って流されかけたり、
野生の獣に追いかけられる事もあったと言いながら、
ガブラスはもう一度魚を獲った。


不謹慎ではあったが、ドレイスは嬉しかった。

ガブラスが自分の事を話してくれた事は無い。

いつもガブラスと交わすのは仕事の話ばかりで、
ドレイスが知っているのはガブラスの性格と、
彼の祖国が今はもう跡形も無い事だけだった。

そのランディス共和国を滅ぼした国の民であるドレイスに、過去の事は聞けなかった。


ドレイスが感動している間に10匹近く魚を獲ったガブラスは今度は川から上がり、
小枝を魚に刺した。

身をうねらせる様に刺すのを見よう見まねで手伝ってみたが、
これが意外に難しい。

ガブラスがドレイスに枝を積んで火を付けてくれと言ったのは余りの不器用さを見兼ねたからだろう。

現にドレイスが小枝を一本刺す間にガブラスはその倍以上のペースで次々片付けていた。


火を起こすのは簡単だった。

積んだ枝に小さめのファイアを当てるだけだ。

困ったのは炎を保つ方法だった。

少し風が吹いただけで揺らいだ火はすぐに小さくなった。

色々考えて、大きめの石を周囲に積むことである程度風を避けられる事に気付いた。

ガブラスが火の周囲に枝に刺した魚を等間隔で並べる。

暫くして漂い始めた香ばしい匂いを嗅いで、
ドレイスは漸く己が空腹であったことに気付いた。


「もう焼けたのではないか?」

耳に心地良い声と共にガブラスが焦げ目の付いた魚を差し出してくれた。

普段食べている魚の様に切り身でも味を付けられているわけでもない魚はどこかグロテスクに見えるが、
ここは帝都でも自宅でも無い。

贅沢を言っている場合では無かった。

勿論カトラリーなんて上等なものも無い。

思い切ってかぶり付いてみたドレイスは、
口の中に広がった熱さと予想外の苦味に慌てて魚を口から放した。

その様子を見ていたガブラスが下を向いて肩を小刻みに震わせている。

笑われているのだと気付いた瞬間ドレイスは頬が赤くなって、
顔を上げたガブラスの口元にその残滓がある事を目にしたら顔どころか耳まで熱は広がった。

「な・・・何だ。」
「いや・・・まさかはらわたの部分から食べるとは思わなかった。」

まだ声に笑いの余韻の残るガブラスがドレイスの手から魚を取った。

ドレイスの歯型のついた部分とその周囲を多目に取って、
ついでに鰭も頭も取り除いて離れた場所に投げ捨てる。

どこから見ていたのか野生の獣が現れてそれを銜えると、
足早に駆け去った。


空腹も手伝ってか、返してもらった魚はとても美味かった。


ランディスは田舎、帝国は大都会のイメージです。

ランディスの描写が欲しいなあ・・・。

ガブラスが優しいですね。

元々優しい人ですよ。
私の中では。
でも違和感もある・・・。






拍手御礼~!PageTop日記と更新予定~。

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