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小さな手<2>

<1>の続き。

伸ばした手の、その先は。








子供は何でも知っている、何でも出来る大人に憧れる。

大人は我慢を知らない、何も知らない子供に戻りたい。




粗方の仕事が片付いたウォースラは休憩を取って気分転換に表に出た。

その目の前に不意にぴょこん、と小さな人影が現れる。

ウォースラに気付いたノアははにかむ様に笑んで、
きちんと膝の前で手を揃えて頭を下げた。

「こんにちわ。」
「・・・・・・・・・。」
「?」

ノアを見下ろしたまま動かなくなったウォースラに、
ノアが小さく首を傾げる。

「・・・散歩に行くか。」
「はい!」

殆ど呟く様な声に元気良く返事をしたノアから視線を逸らし、
ウォースラは溜息を吐いた。



ノアを連れて市街地上層部を歩きながら、
ウォースラは見慣れた風景をぼんやりと視界に収めていた。

ノアの存在を快く思っていない者達の気持は痛いほど分かる。

友好国ナブラディアを再起不能に追いやり、
ダルマスカも滅亡寸前まで追い詰めた帝国からの賓客として扱われている子供など、
戦争で受けた傷の癒えていない者達から見れば未だ敵と変わらないのだ。

先の将軍の様にノアを疑う者も居れば、
人質に取って帝国に仕返しをしたいと思う者も居るだろう。

例えそれが国外出身でありながらダルマスカに貢献し続けた英雄の身内であろうと無かろうと。

ウォースラ自身、ノアと帝国とを交互に思い浮かべている己に気付いてぞっとする時があった。

一方で自分が言った様に幼子に腹いせをして得られるのは国内外からの失笑と失望だけだと言う事も分かっている。

それを建前だ、偽善だと嘲笑う自分が居る。


堂々巡りの思案を止めたウォースラはふと隣を見て、
足を止めると次に背後を振り返った。

一緒に歩いていると思っていたノアが居なかったのだ。

小走りに駆けて来たノアがウォースラの隣に並んで、
その一挙一動を見守っていたウォースラを不思議そうに見上げる。

「・・・なんでもない。」

短く答えて歩き出すと、
ノアも歩き出す。

その距離は次第に離れて行って、
どうしたのかと振り返るもノアは普通に歩いているだけだ。

ふと自分の歩調とノアの歩調を見比べて、
合点の行ったウォースラが足を止めて手を差し出すと、
その手を見つめたノアが視線を上げた。

「あのね。」
「ん?」

零れて落ちそうなほど大きな瞳が陽光を反射して煌めく。

「ぼくは、いらない子?」
「・・・・・・・・!」

純粋にその美しさに目を奪われていたウォースラは言葉を失った。

何かの冗談かと思ったが、
こんな小さな子供が自虐的な冗談を口にするとは思えない。

何より、ノアは真顔だった。

「・・・どうしてそう思う?」
「お庭で遊んでいる時に他の人とこわいお顔で見てたでしょう?」
「・・・・・・・・。」

迂闊だった。

あんなにも楽しそうに走り回っていたノアに、
建物内、それも階上の己らに気付かれているとは思わなかった。

幼児と言うのは思いの外目端が利くらしい。

(それともガブラスだから・・・か?)

溜息を飲み込んだウォースラは、
しゃがんでノアと目線を合わせた。

「大人の事情ってやつだから話してもわからんだろうが、これだけは言っておく。」
「?」
「俺はお前が要る。ローゼンバーグも、アーシェ様も、帝国もさっきお前と遊んでくれた連中もお前が必要だ。」

まっすぐ、思ったままを口に出した。

幼子相手に腹芸は通じないし、
ウォースラ自身、婉曲な物言いは苦手だった。

大きなブルーグレイがゆっくりと瞬く。


立ち上がったウォースラはもう一度手を差し出した。

にこりと拙い笑みを浮かべたノアがその手を握った。


まだ大した長さの無い足は2歩歩かないとウォースラの1歩分に及ばない。
もみじの様な手はウォースラの人差し指1本しか握れない。

(こんな子供相手に何を考えているんだ俺は・・・。)

頭を振ったウォースラは、
同僚に良く似た幼い顔に片眉を跳ね上げて見せた。

憎しみの連鎖は誰かがどこかで止めなくてならない。

この何も知らない子供が帝国とダルマスカの過去を清算し、
これから築かれるであろう平和な未来の礎となるのなら。


小さな手は、とても温かかった。


ダルマスカ---------ウォースラにだって葛藤はあります。

懐いてくれるノアが可愛く無いわけじゃない。

でも、国を立て直すのは大変で、
きっと何かの拍子に”こいつのせいで-----"
って思う事がある。

その辺はアーシェも分かっていて、
分かった上でゴリ押し力技で周囲を黙らせてちびノアを預かっています。

勿論ガブラスが早い所戻ってくれないと困る帝国相手の外交も強気。

それぐらいのバイタリティはありそうですからね、殿下。

ちなみにアズラスさん、子供の扱いは苦手そうな気がします。


バシュ「ちょっと!ノアがいるのに私の出番が無いってどう言う事!?」

ウォス「うるさいな。仕事しろよ。」

バシュ「ノア~!。゚(゚´Д`゚)゚。」

ウォス「昼寝中。」




”小さな手”の理由。PageTop内容変更。

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