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Drug<1>

アルシドが怪しい薬を持って来た。
何も持って来なくても胡散臭いのがうちのアルシド。




「新薬?」
「まあうちでも比較的最近流通が確認出来たばかりですがね。」
「非合法か。」

ガブラスの言葉にアルシドは”御名答”とにっこり笑って、
淹れられたばかりの茶を飲んだ。


ガブラスはアルシドが部屋に来る事をあまり好ましく思ってはいない。

部屋には部外秘ほど厳重ではないが、
しかし余り他に知られたくない類の書類や資料が書棚に並んでいて、
今は友好関係にあると雖も他国の者にそれらを触れられたくないのだ。

無論アルシドは無断で触ったりはしない。
それどころかこうして何かの拍子に聞き捨てならない情報を出して来る。

故に、あまり無碍にも出来ないのだ。

「貴方が御存知無いと言う事は帝国にはまだ入って来ていないんですね?」
「どう言うものか分かればすぐに手を打つ。」
「ああ、現物、ありますよ?」

さらりと返されてガブラスは目を細めた。

何となく予想はしていたが、
ならば先に出せと言いたいのを堪えたのだ。

アルシドが出したのは瓶入りの錠剤だった。

「一部の女性達の間で結構な人気が出ていましてね。」

特徴的な喋り方を聞きながら、
受け取った瓶を開けて匂いを確認してみる。

特にこれと言った匂いは無かった。

「少し貰っても?」
「少しと言わず1瓶どうぞ。」
「感謝する。」

ドラクロア研究所に回して成分分析をする必要性がありそうだ。

ガブラスが瓶に蓋をすると、
アルシドは苦笑いをしてソファの背凭れに凭れかかった。

「全く、次から次から良く作りますよ。」
「製薬の知識がある者を片端から調べれば良い。」
「ハッ、どれだけの数が居ると思っているんですか?」

鼻で嗤ったアルシドが大仰に肩を竦めると、
ちらりと視線を寄越したガブラスに苦笑いをして見せる。

「・・・大体被害が一般人であるうちはお偉方は動きませんよ。」
「公安総局ならやる。」
「・・・・・・・・・。」

即答したガブラスにアルシドは溜息を吐いて長い脚を組んだ。

「その辺ですかね。」
「?」
「うちが帝国に勝てなかった理由。」

バハムート戦は結局勝敗がうやむやのまま終結したが、
決着が着いた所でアルシドにはロザリアが勝っていたとは思えない。

帝国は公安総局によって国の隅々まで管理が行き届いている。

公安総局は皇帝直属の機関で、
引いては皇帝の支配が民の1人1人に及んでいると言う事だ。

バハムート戦後、その加護は旧市街にも存分に及んで、
皇帝と公安総局への支持は上がる一方だとアルシドの耳にも入っていた。

大体私利私欲に塗れたロザリア軍上層部が滅私奉公の公安総局に勝てる見込みなど、
世界中探しても見つからないだろう。

公安総局以前に帝国軍にすら勝てるかどうか。

軍も公安総局が管理しているのだ。

「勝つつもりだったのか?」
「笑えるでしょう?少なくとも上層部はその気だったみたいですよ。」

おどけたアルシドを鼻で嗤って、
ガブラスは蓋を締めた瓶を目線の高さで振った。

然程大きくも無い錠剤がガラスに当たって涼やかな音を立てる。

「試してみますか?」
「馬鹿な。意味が無い。」
「楽しいと思いますけど?」

アルシドを無視して、
立ち上がったガブラスが架台に置かれた甲冑の側の棚に瓶を置いて戻ると、
取りつく島も無い様子が面白く無かったのか、
アルシドは口を尖らせて少し冷めた茶を飲んだ。

別にガブラスは相手の機嫌の良し悪しなど気にも留めなかったが、
不意に掴まれた手に視線を落とす。

何事かと思う前に手はローテーブルの天板に押さえつけられて、
視線を上げた時にはアルシドの顔が眼前まで迫っていた。

互いに半端な中腰のまま唇が重なって、
目を見開いたガブラスは紅茶と共に口内に流れ込んで来た小さな塊に眉を寄せた。

吐き出そうとする前に侵入して来た舌に”それ”は喉の奥まで押し込まれて、
こくり、とガブラスの咽頭が小さく動くのを確認したアルシドが満足げな笑みを浮かべて離れる。

「・・・何を飲ませた?」
「いえね、効果の程を知りたくって。」

澄ました顔のアルシドが軽く肩を竦める。

「分析結果を聞けば済む話だろう。」
「この目で見たいんですよ、効果を。」

飲み切れず口の端を伝い落ちた茶を指先で拭って、
ガブラスは目の前の男を思い切り睨みつけた。

→<2>


この2人の会話って腹の探り合いっぽいイメージです。

手の内は全て見せない。
けれど言葉の端々から互いの国に対してどう動くか読むのが日常。

国を動かせるだけの実権を持っていないアルシドの方が分が悪い。




日記~。PageTop拍手御礼。

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