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届かない場所。

タマネギ・・・じゃなかった。
少年と武人。
引きこもり武人がコスモス陣に存在を知られる前のお話。

「ああもう!」

苛立たしげに呟いて、オニオンナイトは大地を駆け抜けた。

何かと己を子供扱いする仲間達の制止を半ば振り切る様に
単独での見回りに出たは良いが
イミテーションの団体に出くわしてしまった。

逃げ回りながら1体ずつ何とか倒して、
現時点で追って来るのは4体。

消耗しきった体力は足を縺れさせ、
底を尽きた集中力は魔法を放っても当てられなくなった。

しかも兎に角逃げる事に専念をしたから
聖域へ戻る事は勿論、自分が今、どこに居るのかすらわからない。

「僕としたことが・・・・!」

独りごちても、答える者など誰もいない。

飛び出す己を制止しようと伸ばされた騎士の手。
悪乗りして己を煽った夢想の声。
それを諫める獅子の言葉。
真っ直ぐ、諭す様に正論を述べる勇者。
そして、心配げに己を見つめる少女の瞳。

それらを目にしたのはほんの少し前の出来事だったのに。
果てしなく、遠い。
彼らのいる場所の温かさに今更のように気付いた少年は瞳の端に涙を浮かべた。
本当に、今更だった。

「あっ!」

追手を確認しようと走りながら顔だけ振り向いたのがいけなかったのか、
ほんの小さな地面のくぼみに足を取られたオニオンは
体勢を取り戻す事が出来ず派手に転んだ。

強かに打ちつけた膝が痛い。
しかし悶絶する暇など無かった。

複数の足音が迫って来て、
思わず振り向く。
もう、起き上がって再び駆け出す余力も、余裕も無い。

イミテーション達は、鉱石の結晶じみた顔の、
口に笑みを浮かべた。

勝利の確信を得た表情。
それは、オニオンの敗北を、消滅を意味していた。

死の恐怖とはこう言うものか。
目を閉じる事も出来ない。
微動だにする事も出来ない。

贋者達が一斉に贋物の武器を振り上げる。
浮かんだままだった涙が、一筋、頬を伝い落ちた。

その瞬間---------------

オニオンには、何が起こったかわからなかった。

背後から”何か”が飛んで来て、
それを真っ向から食らった贋者達は笑みから一転、
驚愕の表情を浮かべて砕け散り、霧散した。

まるで油の切れたブリキ人形の様にぎこちない動きで振り向いて。
見上げた少年の瞳に映ったのは、物々しい甲冑に身を包んだ男の姿だった。

無造作に脱いだ兜の下から現れたのは大麦色の短髪。
整ってはいるが人形じみた顔立ち。

後で表情が乏しいから作り物の様に見えたのだと気付いたが、
この時の混乱した頭では本当に”人間”だと思えなかった。

その人形が口を開く。

「何故子供がこの様な所に居る。」
「・・・・子供扱いしないでくれる?」

いつも、苛立ち交じりに吐き出す言葉は
今は弱々しく呟く様で。

しかし正しく聞き取った男は両手に持っていた大ぶりの剣を収め、
少年が多少よろけながらも立ち上がるのを待った。

「・・・子供の決まり文句だな。」
「子供じゃない!」
「どこが?」

低く、張りのある声にオニオンは詰まった。

仲間達は純粋に心配してくれたのに。
勝手にからかわれたと腹を立てて、
意地を張って。
何が”子供じゃない”だ。
どこからどう見ても子供そのものだ。

しかし。
認めたくなかった。
子供など、”弱者”で”無力”で”不自由”の象徴ではないか。

「子供じゃないよ。僕はコスモスの戦士だ!」
「・・・ほう?ではそのコスモスの戦士殿がこの様な場所で1人で何をしている?」
「・・・・別に。聖域に帰ろうとしたところだよ。」

つい口を尖らせてしまったが、俯いていたから男には見えない様だった。
悔しいが、今は口論する余力も無い。

「帰り道は?」
「え?」
「ここは聖域から遠い。幾つか他のエリアを抜けなければ戻れんぞ。」
「え!?」

そんなに離れてしまっていたのか。

愕然とするオニオンに男は軽く溜息を吐いて踵を返した。
その背には黒いマントに何かの紋章が赤く染め抜かれていて。

「歩けるか?」
「あ・・・当たり前だよ!言っただろ?子供扱いしないでって。」
「そうか。子供で無いのなら迂闊な行動は控えるべきだな。」
「!」

見抜かれていた。

思わず言葉に詰まったオニオンを鼻で笑って、男は歩きだした。
慌てて後に続く。

男が何者で、どこへ行くのかはわからないが、
ただでさえ不安定な世界の、
どこだかわからない場所に1人取り残されるのは願い下げだった。


男は勇者には及ばないが背が高かった。
マントに隠れた背中は広く、
歩調に合わせて揺れる手も、
着実に地面を踏みしめる足も、
オニオンのそれに比べてずっと大きい。

これが”大人”なのだ。


「おい。」
「オニオン!僕はオニオンナイトだ!・・・ってあれ?」
「オニオン!」

オニオンは目を瞠った。
そこは、見覚えのある、目的地の見慣れた風景だった。

駆け寄って来た少女が己を抱き締め、
他の仲間達も次々集まって頭を撫でたり、心配したと口々に言う。

「どこへ行っていたのだ?」
「心配掛けてごめんなさい。・・・僕にもわからないんです。
でも、この人が---------------」

勇者の問いに素直に答えて、振り向いたオニオンは再度驚いた。

今の今までそこに居たはずの男の姿が無い。

「あれ?どこ・・・男の人が助けてくれて連れて来てくれたんです。」
「男?」
「私も一瞬見えました。でもオニオン君に気を取られて顔を上げたらもう・・・。」

申し訳なさそうに目を伏せた少女に勇者は静かに首を振り、
生還した少年の頭を軽く撫で、1つ、頷いた。

「ともかく、無事に戻って良かった。」
「本当に、ごめんなさい。」

謝ったオニオンを陽気な仲間達が取り囲み、聖域の中心部へ連れて行く。
もう一度振り向いたオニオンは男が居た聖域の端に目礼をした。


”ありがとうを言い損なっちゃったな・・・”
なタマネギのお話でした。
相変わらず長いね!すみません。

何故に少年か。
それは昨日まで少年を育てていたから。
苦手で後回しにしていたのですが、やっとこLv100まで上げました。

武人が少年を助けた時に飛ばしたのはイノセンス辺りじゃないですかね。←適当
子供に優しい武人。

少年の正式な年齢は公開されていませんが、
多分大人ぶりたいお年頃なんだと。

そういう時期も武人は既に経験済みだから
少年の強がりなんてお見通し。
そうやって人は大きくなるのだよ。そんな感じ。

3は未プレイなので少年がどういうキャラクターなのかは今一つ分からないのですが、
彼は自分が"子供”である事にすごくコンプレックスを持っていると思うのです。
実際DFF内全キャラクター中最年少だし。

成長期前だから背も小さい。体重も軽い。手足も小さい。
そんなタマネギにとって成長期も思春期もとうの昔に終わった武人は
正真正銘の大人だろうなと。いや、正真正銘大人ですけどね。
兄さえ絡まなければ。

ジャッジベルガの災難。PageTop一方通行 <4>

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