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願いを<3> Gabranth

<2>の続き。

ガブはこれを抜けない事には兄との蟠りも解けないと思いました。

--裏切り者。--

--お前は我らが国の誇りを貶めた。--

違う・・・違う、違う!

--何が違う?お前はランディスを見捨てた。--

--ローゼンバーグの子息たる者が敵国の軍門に降り、犬の様に尾を振るとは。--

--売国奴は誰か--

--兄を詰っておきながら、結局は貴様も同じではないか--

--母など、己の生き汚さを正当化する為の口実に過ぎまい。--

違う!では親を見捨て、国と共に滅ぶ事が然るべき道だったと言うのか!?

--皆、そうして果てたではないか。--




「ノア?ノア!」
「------------ッ!?」
「魘されていた。大丈夫かい?」

兄の声に飛び起きたガブラスは、
心配そうに顔を覗き込むバッシュに首を振って、
眉を寄せると口元に手を当てて洗面所へ走った。

「ノア!」

夕食に摂った物全てを吐き出して、
吐く物が無くなっても込み上げる胃液が食道を灼いた。

「う゛・・ぇ゛・・・・」
「ノア、ここで待っていなさい。医師を呼んで来る。」

追って来た兄が慌てて部屋を飛び出す音を聞きながら、
座りこんで壁に寄り掛かったガブラスはゆっくりと意識を手放した。


詰る声は親戚のものだった。

責める声は父の部下の、良く遊んでくれた男のものだった。

それは近所の婦人の声であり、
幼馴染の声であり、
ランディスの民たちの声であり。

そして、最後に聞こえたのは父の声だった。


母と共に帝国へ亡命した後、
ランディス騎士団は全滅した。

その事を風の噂で聞いて、
ランディス共和国そのものが地上から消えた事を知ったのはそれから一月も経たないうちだった。

離散した民の行く末は知れない。


積み重なる医療費に、
困窮する一方の生活。

帝国軍に志願した事を報告した息子を、
母は無言で抱き締めて何度も髪を撫でた。

亡き父と同じ色、同じ手触りの髪に母は涙を流して、
静かに泣いた。

「母様、バッシュもすぐ戻って来るから・・・そうしたらまた3人一緒に暮らそうね?一緒なら何とかなるよ。」

兄は母と弟が敵国に亡命した事を知らない。
そしてあれほど憎んだ帝国に来るわけが無かった。

母は、幾度も繰り返される息子の嘘を否定しなかった。

分かり切っているのに否定をしなかった。

否定しないまま、天に召された。


母も、国も救えなかった。

それが若さ故だと言うのなら、
何故もっと早く生まれなかったのだろう。



額に当てられた温かい手の感触に、
ガブラスは目を開けた。

「大丈夫かい?」
「・・・・・・・バッシュ?」
「倒れたの、覚えている?」

兄の言葉にガブラスは暫し思案して、
結局首を振った。

長い、悪い夢を見ていた気がするが、
今、目が覚めるまで起きた記憶は無い。

「少し水を飲んだ方が良い。あと熱冷まし。」
「熱冷まし?」
「今はちょっとした熱も命取りになるからね。」

差し出された水と粉薬を見つめて、
ベッドの端に腰掛ける兄に視線を移すと、
バッシュは口の端を引き結んで睨んで来た。

「早く。」
「・・・・・・。」

促されるまま起き上がって、
粉薬を口に流し入れ、水で飲み込む。

薬の苦みに眉が寄って、
通った水に喉が痛んで更に眉を寄せたガブラスの手からグラスと用の無くなった包み紙を取り上げたバッシュは、
サイドボードにそれらを置いた。

「熱があるのか?」
「自覚無い?」
「喉は痛い。」
「さっき吐いたからね。自分で洗面所に行ったのも覚えてない?」

兄の言葉に再度首を振ったガブラスは、
額を押されて枕に頭を乗せた。

バッシュはそのまま短髪を丁寧に梳く様に撫で続ける。

「ノア。」
「?」
「母上を最後まで守ってくれて、ありがとう。」
「・・・・・・・。」

少しうとうとし始めていた目蓋が開いて同じ色の瞳がバッシュを捉えた。

「・・・お前は考え無し過ぎる。」
「ノアが居てくれるからね。」

にっこりと笑顔を向けられてガブラスは眉を寄せた。

「・・・お前、俺がどれだけ大変だったか知っているのか?」
「大体予想はついている。」
「いつもそれだ。」
「それでいつもノアは許してくれる。」

苦虫を纏めて噛み潰したような弟の表情にバッシュは笑んだまま小さく首を傾げて、
聞き慣れた溜息を聞くとそっぽを向いたガブラスの額の端に軽いキスをした。

「お休みノア。」
「馬鹿者。」
「そうだね。」

否定しないバッシュに舌打ちをして、
ガブラスは毛布の中に潜り込んだ。

苦笑いをしたバッシュが側を離れる気配がして、
同時に引きかけた眠気が戻って来る。

遠退く意識の中、
苦笑いをする両親の顔を一瞬、見た気がした--------------。

→<4>


ランディス滅亡時、双子は騎士団員であっても戦列に加えて貰えなかったんだと思います。

戦力にならなかったからなのか、
年若い兄弟に未来を託したかったのか。

どちらにしても双子はそれぞれ別の国で祖国の末路を耳にして己の力量、経験不足を嘆いたのではないかと。

抱えていた蟠りを双子間で直接話す事で、
うちのガブラスはノアに戻れた感じがする。

ノアは口に出さずに抱え込むタイプなので
口火を切ったのはバッシュでした。

結局ごめんは言わなかったけれど、
「そうだね」の中に含まれている意思をノアは汲んだので、
これで双子間の蟠りはひとまず解消。

ひとまずと言うか、取り敢えず?
実はこの”取り敢えず”が重要。

日記~。PageTop日記~。

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