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マヨヒガ<5>

おしまい。
若干スプラッタなので閲覧される際は御注意を。



「お前、俺の話を聞いていたのか?」
「聞いていたとも。」

さらりと即答したセフィロスをガブラスが睨みつける。

総身は鉛を仕込まれた様に重たい上に、
無理を強いられたせいか腰も痛い。
もっと文句を言いたかったが嗄れた喉が痛んで諦めた。

ちなみに気分は最悪である。

それでも改めてシャワーを浴びて防具を嵌めれば自然と気が引き締まる。

もう1度セフィロスを睨んだガブラスは部屋を出た。


「心当たりは?」
「さあ。」

この世界の保持者をどう探したものか、
問われるまでも無くガブラスは思案していた。

名札でも下げていてくれれば分かり易いが、
そんな阿呆がいたら見てみたい。

渋るセフィロスを盾代わりに引き摺り出したが、
このまま見つからなければ何日でもこの世界に居座らなくてはならない。

その間に違和感だらけの光景が馴染みのあるものに変わり出したら。
考えただけでぞっとする。

「街の者達にいつ来たのか聞いてみる、とか?」
「それで最初の者が当たりだと?」
「・・・安直か。」
「おや貴方。ごきげんよう。」

溜息を吐いた直後、掛けられた軽やかな声に振り向くと、
燕尾服の男が優雅に挨拶をした。

今日もシルクハットとステッキでぴしりと決めている。

「知り合いか?」
「いや。昨日最初に声を掛けて来た男だ。」

露骨に警戒するセフィロスを手で制して、
ガブラスが向き直ると男はにこりと微笑んだ。

「聞きたい事がある。」
「おや何ですかな?」
「ここに来た時、誰かに呼ばれたのか?」
「貴方はどなたかに呼ばれたのかね?」

微笑みながら、白い手袋に包まれた手がガブラスの頬に当てられた。

「顔の色が優れないね?」
「それより問いに答えてくれないか?」

隣でセフィロスが明らかに機嫌を損ねた様だったが今はどうでも良い。
機嫌が宜しく無いのはガブラスも同じだ。

「何の話だったかな?」

男が昨日と同じ表情で微笑んだ。

ガブラスの頬に触れる手指に力が込められる。

手袋越しに爪が食い込む感覚はある。
だが痛みを感じない。

「・・・・ッ、セフィロス!こいつだ!!」

吼えるなり、ガブラスは抜いた剣で華やかなドレスシャツに包まれた胸を刺し貫いた。
微笑んだままの表情が一旦凍りつき、それは三日月の様な形に更に深まる。

男は更にガブラスに近付こうとした。

傷口に、刃が少しずつ埋まってゆく。

刺された際の衝撃で離されて、
しかし再度ガブラスに伸ばされた手を無表情のままセフィロスが切り落とした。

「先も言おうと思ったがな、気安く触れるな。俺のだ。」
「誰がだ。」

即答したガブラスに、笑顔の男が落とされたままの手を更に伸ばした。
血を吹き出す傷口が目の前に晒される。

軽く仰け反ると、隣の男が燕尾服の腹を蹴飛ばした。
刺さったままだったカオスブレイドが抜け、手元に軽さが戻る。

「あ・・・ア・・・・ああアぁアアアあァあ!!!」

超音波にも似た、血を撒き散らしながらの男の絶叫は世界全体に響き渡った。

「どうして・・・ドうシテ!!わたシノせカいが!!」

空にひびが入る。
建物が崩れる。
人は地割れに飲まれ、
空を飛んでいた魚がぽとりと落ちた。

狂気の世界は終焉を迎え始めた。

いきなり砕けた足下を跳んで離れたセフィロスがガブラスの腕を掴む。

「ガブラス、走るぞ。」
「・・・俺は良い。」
「戻りたがったのはお前じゃないのか?」
「・・・気持ちが悪くて動けない。」

見れば顔色が紙の様に白くなっている。

どうやら元々体調が良くなかった上に今の強烈な悲鳴が止めになった様だ。

荒い呼吸を繰り返しながら、
自重を支えきれなくなったのかガブラスが膝を折る。

「・・・心当たりはある。」
「だろうな・・・。どう考えても貴様のせいだ・・。」

それでも憎まれ口は利くのか。
しかしガブラスはそれきり何も言わなかった。

「全く、世話の焼ける。」
「・・・・・・?」

しゃがんでガブラスの背と膝の裏とに腕を通すと、
今にも目蓋の裏に隠れそうなブルーグレイが胡乱気にセフィロスを見た。

構わず立ち上がると己の装備を確認した瞳が揺らぎながらセフィロスの目線を捉える。

「馬鹿・・・力・・・。」
「ソルジャーを甘く見て貰っては困るな。」

軽くは無いが抱えられない程でも無い。

片眉を跳ね上げたセフィロスは、音を立てて割れる地面を駆け出した。



己の領域で、隣に座るセフィロスに凭れながらガブラスは深い息を吐いた。
気分は未だ優れないが、あの世界から出て来れた現実は喜ばしい。

「どうしてあの男だと?」
「まともに会話が成立したのがお前とあの男だけだったからだ。」

あの世界に於いて、セフィロスと燕尾服の男以外意思の疎通が図れなかった。

男の隣に立っていた貴婦人も微笑んでこそいたが、ガブラスを認識した様子は無かった。

ガブラス自身まともに交流を図る気がなかったから気付くのが遅れたが、
狂気に満ちた中で”自我”を持っていたのはガブラスと、セフィロスと、そしてあの男だけだったのだ。

自我が無くては仲間を呼び込む事も、世界を維持する事も出来まい。

少し考えればわかることだが、独特の雰囲気に流されてしまっていた様だ。

「少し、休む・・・。」
「好きなだけ休め。弱ったお前は面白くない。」
「・・・貴様の、せい・・・だ・・ろ・・・。」

消えかかった語尾は、静かな寝息に変わった。

「弱らせるのは面白いがな?」

聞けば怒るに違いない。
だからこそ面白いのだと言ったらどんな愉快な表情を浮かべるだろうか。

想像して、小さく笑みを浮かべた英雄は、
幾らか顔色の戻った頬を指先で軽く撫でた。


武人、回復したらまた・・・ゲフンゲフン。
でも割合英雄がまともっぽい?

武人を俗に言う”お姫様抱っこ”させてみた。

英雄は魔晄で身体能力をすご~く上げているから武人がフル装備(総重量100kg相当)でも抱っこできるよ!
・・・って事にしておいて下さい。

あれって、身体能力の底上げをしてくれますよね?
違ったっけ?
なんかそんな印象があるんですけど・・・。

当初、英雄は抱っこじゃなくて肩に担いで走る予定だったです。
それじゃああんまりなんで・・・。
武人の頭に血が上るしね・・・。

しかし無事に終わって良かった。
武人、お疲れ様でした。

拍手御礼。PageTopお礼を。

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