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おやすみ

英雄×武人












ガブラスは、急いでいた。
早く己の領域に戻らなければ。
その一念だけで、兎に角最短距離を選んだ。
最早何も考えられず、帰巣本能任せの状態で、それでも他人の気配に気付けたのは、身に沁みついた”習性”のおかげだろう。

現れたのは、ガブラスが双剣を抜いた瞬間だった。
流れる様な長い銀髪に、独特の光を湛える碧い瞳。
美しい容貌の男は既に長刀を手にしていて、ガブラスが剣を構えようとした時には、それを振り被っていた。

「退屈凌ぎに付き合え。」
「待て-------------------!」

不意の一撃は、何とか受け流した。
腕が痺れたが感覚は遠く、ガブラスは舌打ちをした。
体が限界だ。
激しい頭痛と共に、視界が回る。
二撃目、三撃目を躱せたのは、奇跡だと思った。
しかし白く霞んだ目はセフィロスの姿を捉えるのが精一杯で、辛うじてセフィロスが刀を構え直したのが見えたが、最早どうしようも無かった。
膝から力が抜ける。
恐らく受けたであろう衝撃も、痛みも感じなかったのは、不幸中の幸いなのかもしれない。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「目が覚めたか。」

聞き覚えのある声の方向へ視線を向けると、何故か上半身が裸のセフィロスが、ガブラスを見下ろしていた。
どうしてセフィロスが隣に座っているのか、何故自分が寝転がっているのか分からず、ガブラスは懸命に記憶の糸を辿った。
頭が痛い様な、重たい様な違和感が邪魔をして、上手く思考回路が働かない。
それでも、辛うじて目の前の男と干戈を交えた事だけは、思い出せた。

そこから少しずつ記憶は蘇って、自分が何をしていたのか、時間と共に記憶は戻って来た。
安堵の息を吐き、起き上がろうとして、肩を軽く押さえられたガブラスは、英雄の二つ名を持つ男を見上げた。
その手はポーションの瓶を抓む様に持っていて、凝った形を茫洋と見つめながら、ガブラスは口を開いた。

「-------------------お前と戦っていたのだな。」
「具合が悪いなら出歩くな。」
「カオスに呼び出されたのだ。応じぬ訳には行くまい。」

事実を述べただけなのに、セフィロスはきつく眉を寄せ、明後日の方向を睨みつけた末に正宗を出現させた。
しかし長刀はすぐに姿を消し、眇めた目で睨まれた。

「もし私がお前の異変に気付かず、刀を引いていなければ刻まれていたぞ?」
「それは有り難い話だ。てっきり刻まれたものだと思っていた。」

軽口で応じながら、ガブラスはゆっくりと身を起こした。
大分気分が良くなっていた。
鉛を仕込んだかの様に重たかった体も、何とか動く。
そして、漸くセフィロスがコートを着ていない理由に気が付いた。
あの黒く長いコートは、ガブラスに掛けられていたのだ。

起き上がったガブラスを、今度はセフィロスは止めなかった。
呷る様にポーションを飲んだのを見て、どこか怪我でもしたのかと視線を向ける。
その視界を塞ぐように突然迫ったのは、不思議な色合いの瞳だった。

「!?」

触れたセフィロスの唇は冷たく、驚いている間に、流し込まれた液体を飲み下す。
味は何て事の無い普通のポーションで、飲みきれなかった分が、口の端から顎に伝い落ちた。
飲んだ途端、全身がほんのりと温かくなって来た。
熱に疲弊した体が、回復を始めたのだ。

セフィロスは、ガブラスがポーションを飲み切った後も、離れようとはしなかった。
濡れた唇や顎を舐め、頬を伝って閉じた目蓋に至ってもまだ離れようとはせず、良い加減鬱陶しくなったガブラスは、乱暴に押し退けた。

「貴重なポーションを分けてくれた事に関しては礼を言う。だがお前まで熱が出たらどうするつもりだ?」
「何、そうなったらお前に介抱してもらうだけの話だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

したり顔で言われて、ガブラスは、恐らく物凄く不愉快そうな顔をしたのだと思う。
それが可笑しかったのか、セフィロスは、至近距離でにやりと笑った。
美麗な面差は、悪質な笑みを浮かべても目を奪う程に美しく、それが尚更面白く無くて、ガブラスは、勢いを付けてセフィロスにコートを突き返した。

「世話になった。もう大丈夫だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「何だ?」

セフィロスはコートを受け取らず、己の顎に手を当てて、何故かまじまじとガブラスの顔を見て来た。
そしてガブラスから離れると、先程と同じ様に、隣に片膝を立てて座った。
立てた膝に片腕を乗せたセフィロスは、わざとらしい溜息を吐いて、そっぽを向くと、ガブラスが突き出したままのコートを押し返した。

「おい?」
「紙みたいな色の顔で言われてもな。」
「ポーションを飲んだから大丈夫だ。」
「ポーションで治らんのであれば、もっと根本的な問題では無いのか?」

根本的な問題と言われても、ガブラスに心当たりは--------------無くも無い。
最近は兎に角忙しくて、体を休ませねばと思ってはいたのだが、延々と後回しにし続けて来た。
結果、限界が訪れたのだろう。

コートを返す事を諦めたガブラスは、もう一度身を横たえた。
セフィロスは一瞥だけして、矢張り頬杖を突いたままそっぽを向いた。
ガブラスは暫くセフィロスの様子を窺ったが、セフィロスは座ったままで特に動く気配は無く、そのうちに眠気が差して来て、ガブラスは目を閉じた。


この話の出だしはですね、随分昔に書いたものなのです。
当時英雄×武人と言うと殺伐としたものばかりで、偶には違う感じで書いてみたいと思い立ったのですが、上手く纏まらなくて放置からの忘却と言ういつもの流れで現在に至ったわけです。
で、過去記事を整理していたら見付けたので、書き上げたって言う・・・・・・・。

英雄「休んだか?休んだな。」

武人「確かにゆっくり休ませては貰ったが、起きるなりいきなり服を脱がすな!」

英雄「何を言う。その為に休ませたんだぞ?」

武人「貴様に対する印象を改めようかと思ったが、必要無い様だな(;゚皿゚)」

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