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腐れ縁<2>

キリリクに頂戴しましたベルガ×ドレイス話の続きです。
当作品は捧げ物となっておりますので、ユーレカ様以外の方のお持ち帰りは御遠慮頂きます様お願い申し上げます。























部屋に戻ったドレイスは、ベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
酔いに火照った頬に冷たい枕が心地良くて、思わず目を細める。

あれは、もう何年前の事だろう。
確かドレイスとベルガがアカデミーに入学する前の年で、誰かが開催した晩餐会に出席した時だった。
ドレイスは、この政民特有の華やかな世界が苦手だった。
傍目には煌びやかで美しいが、それは表面を飾っているだけに過ぎず、中身はドロドロと汚濁して醜くしか見えないのだ。
何かと理由を付けて断って来たが、今回はどうあっても出席しろと父親に厳命されて渋々出たものの、ほんの数分でドレイスは激しい後悔に襲われた。

パーティが始まって早々、様々な年齢層の男女がドレイスに挨拶に来た。
知った顔もあったし、名前しか聞いた事の無い者も居た。
成程、親が躍起になるわけである。
ドレイスにその気は全く無くても、政民の娘が十五、六歳にもなれば、もう結婚が視野に入ってもおかしく無い年頃だった。
だから父は躍起になったのだ。
品定めをされて来い、と。

年頃の息子を持つ親や、相手と死別離別したドレイスなどよりも遥かに年上の男。
噂でしか聞いた事の無い者達が、親しげな笑みで、下心を隠して次々名乗った。
ドレイス家自体は政民の中でもやや上流寄りの中流で、当たり障りの無い家格が災いした。
これは帰って数日もすれば、方々から手紙が届くに違いない。
触れるのもおぞましい様な、甘ったるい文言が並べられた代物が。


「流石はドレイス家令嬢。大人気だ。」
「羨ましいのなら差し上げましてよ。」
「折角の申し出だが遠慮しておくよ。」

漸く”襲撃”が落ち着いた頃になって、笑いながら話しかけて来たのは見覚えのある少年だった。
同じ年の生まれで、家格も然程変わらないベルガ家の息子。
顔ぐらいしか知らないが、それでも防壁ぐらいには役立つかもしれない。
ドレイスは、居住まいを正す振りをして、大柄なベルガ少年の陰に隠れた。

「もううんざりだわ。」
「何が?」
「何もかもよ。どうしてこんな窮屈なのに、みんなは政民は良いなんて言うのかしら。」
「それは・・・・・・・政民以外は政民の実態を知らないからだろう?」
「---------------そうね。」

溜息を吐いたドレイスに、ベルガはそれより、と小声で話を替えた。
ベルガはドレイスの目的を知ってか知らずか、上手くドレイスを隠したまま、立ち話を始めた。

「君は知っているか?外民がアカデミーに入った話。」
「ああ、その話?御父様が渋い顔をされていたわね。」
「僕も皇帝陛下のお考えがどうしても理解できない。」

思いの外強い言葉に、瞬いたドレイスは、ベルガを見上げた。
ベルガは正面を見つめながら、声を潜めて続けた。

「確かにランディス戦じゃ予想以上に苦戦したのは聞いているよ。でも、だからと言って外民の力を仰がなければならない程兵が死んだわけじゃあない。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「仮に帝国兵が激減したからと言って、外民をアカデミーに入れる理由にはならない。だから、僕がジャッジになって証明してやろうと思っているんだ。アカデミーに---------------公安総局に外民はいらない。」
「そう・・・・・・・・そうね。そうよ。同感だわ。どうして皇帝陛下は外民なんかに目を掛けられるのかしら?そこは私も納得が行かないの。」
「やっぱり?」
「うん、決めた。決めたわ。私もジャッジになる。」
「----------------------え?」

ドレイスが言い切ると、ベルガは随分と間を開けた末に、唖然とした。
それから焦った様子で周囲を見回して、近くに誰も居ないのを確認して、安堵の息を吐いた。

「貴方の言葉を聞いて、モヤモヤした気持ちが晴れたわ。ありがとう、ベルガ。」
「どういたしまして・・・・って待って。落ち着いて考えてみよう?女のジャッジは居ないよ?」
「今までは、ってだけでしょう?公安総局は女性の入局を禁じては居ないわ。」
「それにきっかけを僕にするのは止めてくれよ。僕は君の親に恨まれたくない。」

ベルガは必死で手と首を振った。
それこそどちらも勢いで捥げてしまうのではと危惧するほどの勢いで。

「言わないわよ、そんな事わざわざ。国を愛し守ろうとする気持ちは女も同じよ。男だけの特権じゃないわ。」
「そうかもしれないけどさ。」
「大体おかしいと思わない?女に生まれたら楽器と行儀作法覚えて親の決めた相手に嫁ぐしかないなんて。政治だってそうよ。男の世界だから口出しするな、女は着飾ってそこに居れば良いって、誰が決めたの?」
「い、いやでもそれ男も嫁の選択肢ないし・・・・・・・・。」
「何か言った?」
「言ってません。」

ドレイスが真っ向から睨み上げると、ベルガは焦った様子で即答した。

「私ね、男だから女だからって括られるの、ずっと嫌だった。ねえ、貴方見た事ある?新民の子供達。男女関係無く遊ぶのよ。御父様は野蛮だとおっしゃっていたけれど、私にはすごく楽しそうに見えた。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「貴方は家の格も同じぐらいだからこうして話していてもまだ許されるけれど、最近御父様ったら私に男の小間使いが近寄るだけで怒るのよ?どうして誰もおかしいって思わないのかしら?彼は用があるから近付いてきただけなのに、ひどい剣幕だったわ。」
「愛娘に変な虫が付くのはどの親だって嫌がると思うよ?」
「じゃあ愛息子に女の子が近付いても何も言わないのはどうしてよ?」
「そんなこと僕に言われたって困るよ。」
「そうだけど・・・・・・!」

ドレイスは思わず叫びそうになって、慌てて両手で口を塞いだ。
下手に騒いで親の面子を潰したら、怒られるどころか、外出禁止令が出るかもしれない。

「うーん、大分煮詰まっているみたいだね。おいでよ。外の空気に当たりに行かないかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・そうね。そうするわ。」

差し伸べられた手を取ったドレイスは、導かれるまま、バルコニーに出た。
そこで互いに思うまま喋り合ったのが、ベルガとまともに話した初めての機会だった。
その後、ドレイスは両親の反対を無理矢理振り切る形でアカデミーへの入学を果たし、その頃から、ずっとベルガと一緒だった。
思えば長い付き合いである。
父の束縛から逃れたドレイスは、得た自由の心地良さに破目を外していた時期もあったが、それでもベルガがドレイスを見捨てる事は無かった。
ドレイスは今まで散々好きに振る舞って来たのに、ベルガは一切反撃もして来なかった。
それは箍が外れたのがドレイスのみで、ベルガはずっと政民の縛りの中で生きて来たからだとしても、仕方が無いで済まされる話では無かろう。

ベッドにうつ伏せに倒れ込んだドレイスは、ベルガの懐の深さに、初めて気が付いた。

公安総局に入ってから、今までほぼ毎日会っていた。
二人で呑みに行った事だって数え切れない程あったし、呑み潰れて雑魚寝した事もあったが、ベルガはいつだってドレイスの話を聞いてくれて、どんな時だって向き合ってくれた。
大事にされていたのだ。
ずっと。
ずっと-------------------------

「煮詰まっているから気分転換をしよう、・・・・・・・・・か。」

そう言われたのは今回で二度目だ。
色気も味気も無い口説き文句なのがベルガらしく、そして自分にも似合っている気がした。


若ベルガの話し方に物凄く違和感があるのですが、良家のボンボンってこんな話し方するじゃないですか、漫画とかでは。
って事で。
ドレイスも同じく、アカデミー入学~公安総局入局辺りまでに喋り方が変わったと言う事で。

蛇足ですが、皇帝陛下がアカデミーに入れた外民は、ガブラスの事です。
帝国は噂社会ですが、所詮子供に過ぎない二人の耳に届くのは「外民が皇帝の意向でアカデミーに入った」程度なので、何故皇帝がガブを見初めたのか等詳しい話は知らないと言う前提。

今回この話を書いて、アカデミー新入生の二人がガブと一緒に訓練に行って、どうして皇帝がガブを囲いたかったのか思い知る的な話を思い付いたのですが、そのうち気が向いたら書きます。

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