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傲慢な恋

FF12発売十周年記念SSその5!!

ベルガ×ガブラスです。
長いです。
分けようかとも思ったのですが、何となく一話で。

バハムート戦後ですが、全員生存前提です。













全く、ひどい目に遭った。

自室に飛び込んだベルガが思わず零すと、隣のガブラスは苦笑いで応じた。
突然の通り雨に降られた不運を、髪から袖口から滴り落ちる雫が強調している気がして、尚更苛立った。
これだけ濡れたら、いっそ絞れそうだ。


二人でバーフォンハイムを訪れたのは、仕事の為だった。
もっとも本当に仕事だったのはガブラスだけで、ベルガは彼に頼まれて付いて行っただけだ。

---主が中々頑固でな。強面の卿が同行してくれたら心強い---

ガブラスにしては随分と情けない口実に、多少の違和感は感じたが、丁度手が空いていたのもあったし、ガブラスに恩を売れるのなら、と何も考えずに付いて行ったら、そこには思わぬ人物が居た。

---よう。元気そうだな。---

成程。供のジャッジを連れず、わざわざ夜遅くに待ち合わせるわけである。
ジャッジゼクト------------数年前まではベルガやガブラスの同僚で、特にベルガとは個人的な付き合いも深かった、嘗てのジャッジマスターが皮肉げな笑みで出迎えてくれた。
驚いている間に邸内に招き入れられ、良く分からないうちに酒盛りが始まり、気が付けば、「また来いよ」なんて気さくに言われて、嬉しくて二つ返事で応じてしまったが、帰路に就いて初めて、ベルガは我に返った。

「ガブラス。卿は知っていたのか?ジャッジゼクトが」
「ジャッジゼクトはもう居ない。彼はナブディスで死んだ。------------そう報告書が上がっただろう?」

ガブラスは、ベルガの言葉を遮り、言い切った。
正面を見据え、表情一つ崩さない。

突然行方不明になって、叛逆の大罪に問われていたジャッジゼクトが、ナブディス壊滅の際に死亡したとの判断が下ったのは、最近だ。
ベルガもその頃にはとうに諦めていたから、今更死んだと聞かされても特に動じる事は無かったが、それでももう二度と彼と酒を飲む事は出来ない寂しさだけが、微かに胸を疼かせた。
それも、日々の多忙さに追われて、瞬く間に消えてしまったが。


「-------------------いつからだ?」
「私が知っていたのは、いつの間にかバーフォンハイムに顔役が居る様になったと言う話だけだ。普段は触らぬ方が互いに動きやすかろうと踏んで、捨て置いていた。」
「何故教えてくれなかった。」
「教えて何になった?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ガブラスの言い分は、尤もだった。
教えてもらったところで、ベルガに出来る事など、何も無かった。
寧ろ、ゼクトの健在を教えてくれたガブラスに感謝こそすれ(今だって、ガブラスが言葉を選んでいるのは、ゼクトとベルガの仲を尊重してくれているからだろう)、恨むなど筋違いなのは分かっていたが、それでもニヤ付いたゼクト-----------否、今はレダスか------------の顔には腹が立ったし、したり顔のガブラスにも苛付いた。
-------------要は、自分だけ仲間外れにされていた様な気がして、気に入らなかったのだ。
そんな子供じみた理由で怒っているだなんて、誰に言えよう。

それでも久方ぶりの友人との酒は大層美味くて、嬉しくて、ベルガは舌打ちをした事で気分を切り替えて、同じく濡れ鼠になった男を見た。
取り敢えず拭けとタオルを渡したが、ガブラスはタオルを受け取っただけで、髪から滴り落ちる雫に目を細めながら、ベルガを見上げていた。
何か、思い詰めている様な感じもしたが、ベルガは、ガブラスの手からタオルを取り上げると、乱雑に濃金の短髪を拭いてやった。
生真面目な同僚は、ひどく哀しそうな目をしていた。

「取り敢えず湯を浴びて来い。風邪を引くぞ。」
「----------------そうだな。」
「おい、俺はもう少し飲みたいんだ。付き合え。服なら俺のを貸してやる。」

帰ろうとしたガブラスの腕を掴んで、シャワールームを指差すと、ガブラスは溜息を吐いてから、シャワールームへ消えた。
断らなかった辺り、ガブラスもまだ話したい事があるのだろう。
特にレダスの話は余人に聞かせて良いものではない。
話せるうちに話しておいた方が得策だと、極めて多忙な男は判断した様だった。


「-------------やはり卿の服は大きいな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

苦笑いを浮かべながら、頭にタオルを被ったガブラスは、袖口を捲った。
時折、腰の辺りに手をやるのは、ズボンが落ちてしまうかららしい。
そんな同僚を見ながら、ベルガはと言うと、呆けていた。
身の丈に合わない服と言うのは、こうもヒュムの印象を違って見せるものなのか、初めて知ったからだ。

「卿も早く温まった方が良っ・・・・・・!?」
「おい!?」

ベルガにシャワールームへの道を譲った、その時だった。
ガブラスが、余った裾に躓いた。
ベルガが反射的に抱き止めて、ガブラスは転ばずに済んだが、互いに驚いたのは確かで、それが妙に可笑しくて、顔を見合わせて笑ってしまった。

「すまない。裾も捲らないと駄目だな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ガブラスは、ベルガから離れようとした。
ベルガは放さなかった。
ある事に気が付いたからだ。
ガブラスが、怪訝そうな顔でベルガを見上げている。

「ベルガ?どうした?酔ったのか?」
「ああ------------------そうかもな。」

先程はもっと飲みたいと思ったが、もう、大分飲んだ様だ。
だからタオルの隙間から見える洗い髪がこんなにも美しく見えて、だから石鹸の匂いがこんなにも天上の花々が如く香るのだ。

ベルガは、ガブラスを抱き締めた。

浮かれていて、気が付かなかった。
もしも今日の事が露見すれば、三人とも只では済むまい。
特に、一番の重罪に問われるのはガブラス本人だろう。
ジャッジゼクトが生存していた事を隠していた上、本来はバーフォンハイムでの仕事に関わりの無かったベルガに情報を漏らしたのだから、叛逆と見做されても言い訳は出来ない。

それでも、ガブラスはベルガをゼクトに会わせてくれた。
ベルガがゼクトと懇意にしていた事を、知っていたから。
共に会う事で、次はベルガが一人でバーフォンハイムを訪れても差し支えない膳立てまでして。

己の危うさよりも、ベルガ達の友情を汲んでくれたガブラスの優しさに、今更気が付いた。
ベルガは自分の事だけを考えていたのに。
他人の都合なんて、どうでも良いだろうに-------------------

「ベルガ?大分冷えている。このままでは本当に風邪を引いてしまうぞ?」
「そんなヤワじゃない。もしも---------------もしもレダスの事が露見しても、俺はお前の事は黙っているつもりだ。」
「!!」

ガブラスは、大仰な程、身体を震わせた。
驚いたのか、それとも焦ったのか。
ベルガから離れようと足掻いて、それでもベルガは力任せに抱き竦めた。

「お前は俺とゼクトの仲を知っていた。ゼクトが突然居なくなって、俺が落ち込んでいたのも知っていた。だから、会わせてくれたんだろう?」
「それは駄目だ!全ての罪は私に在る。----------------ああ、矢張り会わせるべきでは無かった。」
「そんな事は無い。」

抱え込んでいるベルガには見えないが、ガブラスは、きっと泣きそうな顔をしているのだろう。
そうやって、何もかもを己の身の裡に抱え込んで、誰にも頼らず、甘えず、他人の為に擦り減って、いつか、人知れず消えてしまうのだろう。
バハムートで、己の生きた証すら兄に託そうとした様に。

「ベルガ!」

ずっと、嫌いだった。
憎んですらいた。
何度挑んでも、幾度負けても、次こそは勝ちたいと必死で鍛錬を積み重ねた。
それでも敵わなくて、それでも諦められなくて、それでも、ガブラスは優しくて--------------------

「頼む。止めてくれ。これは私が勝手に考えた事なんだ。卿に事前に何も言わなかったのもその為だ。」
「分かってるよ。だから、俺も共犯だ。お前一人の咎にはしない。」
「ベルガ!」
「俺にだって矜持はある。この歳になって他人におんぶに抱っこじゃあ、恰好が付かないだろうが。」

恰好を付けさせてくれよ。
わざとおどけて言っても、ガブラスは頑なに首を振った。
どうあっても一人で背負い込みたいらしい。

「じゃあ----------------そうだな、お前が折れたら放してやるよ。流石に寒くなって来たから、早く湯を浴びないと風邪を引くな。疲れてが溜まっているから勢い余って肺炎ぐらいなるかもしれない。」
「なっ・・・・・・・・卑怯だぞ!?」
「卑怯上等、勝てば官軍ってな?」

ガブラスは何とかベルガを押し退けようとし始めたが、単純な力比べではベルガの方が強い。
体格からして違うのだから、無理だと分かっているだろうに、それでもガブラスはじたばたと暴れ始めた。

「ベルガ!放せ!」
「さあ、どうしたものかな。お前の返答次第だからな。簡単だろう?イエスかノーの二択だぞ。」
「ッ・・・・・・・・・・・・・・・!」

どちらにする?
肩を叩いて来た手を掴んで、耳元で囁いてやると、ガブラスは身体を強張らせて黙った。
擽ったかった様だ。
ベルガは妙に楽しくなっていた。
何事にも動じないと思っていた男が、困っている。
ベルガの自分勝手な言い分に振り回されて、二進も三進も行かなくなって、途方に暮れている。

「それに、俺にくっついたままではお前も冷えてしまうな。困ったな。二人で仲良く寝込むか?局は回らなくなるだろうが、それはそれで悪くないな。そうだ。名案じゃないか。日頃好き勝手に使って来る元老院やソリドールも、俺達の有難味を分かってくれる良い機会だと思うぞ?」
「ふざけるな!」
「俺は大いに真面目で本気だよ。」

ガブラスには、最早ベルガの言い分を聞く他に道は無いのだ。
何もかも背負い込もうとする重荷を、ベルガが少しぐらい持ったって良いではないか。
どうして、そうも頑なに嫌がるのか。
----------------------どうして、そこまで己に厳しく、他人に優しいのか。

ベルガは鼻で嗤った。
まさかこのタイミングで、こんな感情を同性の同僚に抱くとは。
全く、世の中どこで何が起きるか、分かったものではない。

「早く決めろよ?俺が変な気を起こさないうちに。」
「何?」
「最近忙しくて女を抱く暇も無かったからな。欲求不満だったのを思い出した。」
「!?」

今度は青くなったガブラスは、血相を変えて暴れ出した。
余りの分かり易さについ笑ってしまったが、ガブラスにしてみれば突然降って湧いた貞操の危機である。必死で当たり前だろう。
笑いが止まらないベルガは放さないが。

「ほら、どうする?」
「今思い出す事か!?この酔っ払いが!」
「ああ、そうだな。酔っ払っているから箍は外れ易いかもな。」
「!!」

何を言っても泥沼である。
もう少し力を込めて抱き締めると、ガブラスは動かなくなった。
完全に体幹を押さえこんだから、動けなくなったと言った方が正しいか。
真っ赤な顔をして、ベルガを睨みつけて来る。

「年下だからって餓鬼扱いするなよ。俺だってジャッジマスターなんだぞ。お前と対等の筈だろう?」
「-----------------------------------------。」

まだ粘るか。
思い付く限りの手を使ってみたが、頑固で意固地な男は、きつく目を閉じて、やがて深い溜息を吐いた。

「-------------------分かった。だが、主犯は私だ。そこは譲れない。」
「交渉成立。へっ、二人だけの秘密だな。」
「全く、卿がここまで頑固だとは知らなかった。」
「お互い様だろう?」

軽口で応じると、ガブラスは今度は不審げな眼差しでベルガを見上げて来た。
ベルガは首を傾げる。
まだ何かあっただろうか。

「話は済んだだろう?放してくれ。」
「-----------------ああ。そうだな。」

ガブラスが、ベルガの胸を軽く押した。
だから、放してやった。
尤も、すぐに手を掴み直したが。

「おい!?」
「放しただろう?約束は守ったぞ。」
「子供か・・・・・・ッ!!」
「シャワー浴びて来る。帰るなよ?居なかったら明日ヴェイン様にジャッジレダスと会った話をするからな。俺が、二人きりで、だ。」
「ベルガ!!」

指で耳栓をして怒鳴り声が聞こえない振りをして、ベルガはシャワールームへ向かった。
律儀で生真面目な男は、ベルガの言葉を真に受けて、待っていてくれるに違いない。
今日は可哀想だから酒を飲むだけで済ませてやるが、次はどうしてくれようか。
想像したら楽しくて、ベルガはにやりと笑った。


以前ガブラスがレダスと会った話を書いたのですが、その続きみたいな内容になりました。
別に読まなくても支障は無いです。
レダスも生きてて、ガブが仕事でベルガよりも先に会ってたって話です。

ベルガとレダスとドレイスが同期トリオですが、特にベルガとレダスが仲が良いイメージです。
ドレイスも仲は良いけれど、男同士ならではの話もあるから、二人で呑む機会も多い・・・みたいな。

ガブが自分よりも大柄なキャラクターの服を着て云々は、ずっと書きたかった憧れの話です。
裾が長いとか、生地が余っているとか、可愛いと思うんですよね。
で、風呂上がりだから、普段は上げている前髪も下りていて、一層幼く見えるって言う垂涎設定ですヨ!
ガブラスさん可愛い!
でもってベルガとレダスの友情を守りたくて、健気で必死なガブラスさん可愛い!
惚れない訳が無い!
テンションおかしいですすみません!

そんなノリで書きました。

レダ「お前、ベタ惚れじゃないかwwwあんなに嫌ってたくせにwww」

ベル「うるさいな。」

レダ「ドレイスに九局の局員に・・・・蹴散らす相手が多くて大変だなあ?」

ベル「半笑いで言われても全く同情されている気がせんな。」


まるさんかくしかくPageTopCrocus

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