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弱点

ヴァン×ガブラス

完全無欠に見えたって、本当の完全無欠はないのです。















鼻歌交じりに遊びに行くと、普段着姿のガブラスは、不機嫌な顔でストレッチをしていた。
まあ彼に関しては機嫌が良さそうな顔など見た事がなかったから、多分今も不機嫌でも何でもないのだ。
そう割り切って、ヴァンは気軽に挨拶をしてからソファに座った。

「何かあるのか?」
「何も。肩が凝ったから解しているだけだ。」
「あんなゴツい鎧着て歩いてるからだよ。」
「それが仕事だからな。」

ヴァンにしてみれば、ダルマスカにいる時ぐらい、着なくても良いと思うのだが。
大体、ダルマスカは砂漠の国である。
つまり、夜は死ぬほど寒いが、日中はとんでもなく暑いのである。
そんな国で全身を覆う金属製の鎧など、着ただけで蒸し焼きになってしまいそうだが、ガブラスに限らず、ダルマスカに滞在するジャッジも帝国兵も、あの完全防備の鎧を着て歩いていた。

「マッサージしてやろうか?オレ、しょっちゅうやらされてるから上手いよ?」
「誰にやらされているんだ?」
「ダウンタウンのオッサンとかオバサンとか。ヒトの顔見ると肩こったの腰痛いのって言って来るんだぜ。」
「良い様に使われているな。」
「まあチビ共の面倒見るの手伝ってもらってるから、おあいこなんだけどな。」

軽く笑い飛ばして、立ち上がったヴァンはソファの背凭れの後ろに回って、座面を叩いた。
ガブラスが怪訝そうに首を傾げる。

「座れよ。やってやるから。」
「-------------そうか。ならば頼む。」

もうヴァンは揉む気満々なのである。
ガブラスは少しだけ笑って、静かに腰掛けた。
ヴァンは早速肩を掴む。

「肩だけか?うわ、あんた背中もすごいな。良くこんなんで体動くな。」
「普段からストレッチはしていたんだが、ここの所忙しくてな。少し放っておいたらこの様だ。」
「じゃあダルマスカにいる時はオレがやってやるよ。オレ、上手いだろ?」

まるで石の様な手応えの肩を掴みながらヴァンが言うと、ガブラスは今一つ気乗りがしない様だった。
背凭れ越しに顔を覗き込むと、ちらりと振り返って目を伏せる。
仕事中はあんなにも堂々としているくせに、実は内気なのかもしれない。
そのギャップが面白くて、ヴァンはこっそり笑った。

「確かに上手いが・・・・・・・君とて都合があるだろう?」
「あんたに合わせる。融通利くし。」
「そこまでしてもらう義理が無い。」
「オレがやりたいだけだからいいんだよ。」

食い下がるヴァンに、ガブラスは考え込んでしまった。
ヴァンとしては勿論下心があって、こうやって地道に恩を売っておけば、後で必ず返って来るだろうと踏んでいるのだ。

肩が大分ほぐれた所で、ヴァンは首の際に手を移動させた。
瞬間、ガブラスの体が大きく跳ねた。
ヴァンも驚いて、思わず手を引いてしまった。

「---------------ッ!?」
「どした?」
「く、首は止めてくれ。自分でやる。」
「なんで?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

何気なく聞いたら、黙り込んでしまった。
どうも相当都合が悪い様だ。
初めて見る焦った様子に、ヴァンの悪戯心に火が付いた。

「何?首、弱点なの?」
「・・・・・・・・・・・・・違う。」

返答までにそれだけ時間が空いたら、弱点だと拡声器で叫んでいる様なものだ。
しかも自分の手で首をガードしている。
ヴァンは、口許が緩むのを押さえられなかった。

「じゃあ揉ませてよ。首だってガッチガチだろ?」
「自分でやるから構わないでくれ。」
「折角だからやってやるって。」

ガブラスが立ち上がろうとしたのと、ヴァンがガブラスの首に手を伸ばしたのは、ほぼ同時だった。
わざとガブラスの指の隙間を狙って首を掴んだ瞬間、首筋の産毛が一斉に逆立つのが見えた。
ガブラスはもう声も出ない様で、僅かに立ち上がった体勢のまま、動かなくなった。
面白くて可笑しくて、手を伸ばしたまま、ヴァンは背凭れを跨いで越えた。

「あー、そりゃあ幾ら暑くたってヨロイ脱げないよなあ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「首つかまれたら動けないなんて、猫の仔みたいだな、あんた。」

声に笑いが混じってしまうのが押さえられない。
ガブラスの正面に立って、顔を覗き込んで見ると、ガブラスは耳まで赤くなっていた。
ヴァンを睨み返して来たが、勿論迫力なんて微塵もないわけで。
良く見ると、耳の際がガラ空きだった。
ガブラスは首を守るのに必死で、気付いていない。

「なるほど~?くすぐったいんだ?」
「!」

わざとゆっくり耳元で囁くと、ガブラスはまたびくりと体を震わせて、露骨に目を逸らした。
体裁を取り繕う余裕すら無い様だ。

「意外だな~。あんためっちゃ強いのに、こんな弱点あったんだ~?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

わざと目線の先の方に顔を出して、逸らされると、またそちらから顔を覗かせる。
それでもガブラスは何も言わず(言えないのかもしれないが)、ひたすら耐えていた。
にたりと笑ったヴァンは、乱れてもいない耳の近くの髪を整えてやった。
咄嗟に唇を噛み締めたのは、きっと悲鳴が出そうになったからに違いない。

「顔真っ赤にしちゃってさ?可愛いとこあるじゃん。」
「お、大人をからかうものではない。」
「そんな涙目で言われたって説得力ないって。まあ座んなよ。そんな中途半端な格好してないで、さ。」

相変わらずガブラスは立ち上がりかけた体勢のままで、促すと大人しく座った。
手も足も出なければ、逆らい様が無いのかもしれない。

「な、首だけ?くすぐったいの。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「いいよ、試してみるだけだから。」

脇腹に片手を伸ばした途端、跳ね退けられた。
動きの素早さは流石だが、もう一方の手は未だ首を押さえているのだ。
少し指先を動かしただけで、ガブラスは身を竦めた。
それが本当に猫の仔の様で、ヴァンは声を上げて笑った。
しかし、涙目で睨んで来るのを見た途端、笑いは途切れた。

「あんた・・・・・・・なんか、かわいいな。」
「---------------------は?」

変な気分だった。
ぞくぞくする様な、ざわざわする様な。
初めて経験するおかしな感覚に、ヴァンは目を細めた。
ガブラスは唖然としている。
ヴァン自身も驚きながら、ソファに乗り上げた。
反射的に身を引いたガブラスの首から手を離して、肩を掴んだ。
具体的にどうしたいのかは分からないが、ただ、逃したくないと思った。

「小僧・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「ヴァンだよ。知ってるだろ?名前で呼んでよ。」
「ッ、おい!?止せ!」

言いながら、首筋に鼻を寄せる。
ガブラスはまた身を竦ませて、ヴァンを押し戻そうとした。
構わず、上から体重を乗せながら喉元を舐め上げると、引き攣った声が一瞬だけ聞こえて、ガブラスの手がヴァンの上着を掴んだ。
暴れる脚の間に自分の足を割り入れて、腿に膝で乗り上げる。

「なあ、くすぐったい?」
「や、めっ----------------」

ガブラスは更に顔を赤くして、一旦きつく目を瞑ると、大きく息を吸って吐いてから目を開いて、それからヴァンの頬を両手で包んだ。
意味が分らず、熱を帯びた手に挟まれたまま、ヴァンは首を傾げる。

「?」
「ヴァン?これは、本当に君が望んでの事なのかね?」
「オレが・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「そうだ。良く考えてごらん?君は賢い子だから自分で分かるはずだ。」

噛んで含める様な、ゆっくりと穏やかで優しい声。
起き上がったヴァンが今度は反対方向に首を傾げると、前髪が束で額に落ちて来た。
それをガブラスは丁寧に戻してくれる。
優しい感触にヴァンは瞬いて、ガブラスに視線を下ろした。

「オレ・・・・・・・・・・何やってんの?」
「私が聞きたいところだが--------------悩むなら下りてからにしてくれ。」
「えーっ」
「茶を淹れてやろう。」
「下りる。ちょっと待ってて。」

折角マウントを取ったのに、下りるのが勿体無くてごねると、ガブラスは見た事がないぐらい優しい笑顔でキッチンを指差した。
皿に何か盛ってある様だが、ヴァンの位置からは良く見えない。
ヴァンはいそいそと下りて、キッチンに向かった。

「今日の菓子、何?」
「カシスのクッキーだ。レシピを書き出してあるからパンネロに持って行ってやりなさい。」
「おう。サンキュ・・・・・・・・・・って、あんたパンネロ知ってんの?」

恐る恐る振り向くと、ガブラスは起き上がって服を整えた所だった。

「前にダウンタウンの様子を見に行った時にね。君が留守だったから代わりに案内をしてくれた。」
「・・・・・・・・・・・・そんな事あったっけ?」
「君はいなかったからね。記憶に残っていないのも致し方あるまい。」

ガブラスは、どこか勝ち誇った顔でヴァンを見上げていた。
引き攣った顔を冷たい汗が流れて落ちて、気持ちが悪いのに、拭う事も出来ない。
まるで、見えない糸に縛り付けられた気分だった。

「真面目で勉強家で面倒見も良くて、実に良く出来た娘だ。頭の回転も速いし、何より熱意がある。」
「え?え??ちょ、なんで・・・・・・・」
「料理のレパートリーで悩んでいる様だったから、時間があったらレシピを書いてあげる約束をしてね。とても喜んでくれた。」
「マジで!?接点あるの!?」

ヴァンは早足で戻って、ガブラスの服の襟首を掴んだ。
ガブラスは平然と頷く。
最悪だった。

「え・・・・・・・?今日のコト、言う・・・・・・・・・・?」
「-------------------君次第だな。君がこの先、考えなしに行動に出る様であれば、彼女から窘めてもらう。」
「いや、ダメだから。言っちゃダメだから。それ絶対ダメだから。」

ヴァンは必死で首を振った。
ガブラスは素知らぬ顔をしている。
もう、菓子どころではなかった。
軽く制されて、ヴァンが手を離すと、ガブラスは丁寧に襟首を戻した。
こんな事、パンネロに知られたら”ちょっと小一時間小言を聞く”ぐらいでは済まされない。

「いやいやいやいやいやいやいやいやいや。」
「今日の事を黙っていて欲しいのならば、君は私に言わなくてはならない言葉がある。」
「ごめんなさい。マジでごめんなさい。本当ごめんなさい。」

ガブラスの言いたい事を正確に察して、ヴァンは慌てて謝った。
ガブラスはヴァンには目もくれず、立ち上がるとキッチンに向かった。
茶は淹れてくれる様だ。
ヴァンは後を追った。

「なあガブラス、ごめんって。」
「”若気の至り”で全て済ませられるわけではない事を学んだかね?」
「うん。」

なら良い。
そう言って、ガブラスは焼き菓子の入った皿をヴァンに勧めた。


こう言う時は主導権を握った者が勝ちます。
「パンネロに言うよ?」は、「お母さんに言うよ?」に並ぶ最終手段なので、ガブラスさんは滅多に使わない。
って言うか36歳にもなって、そんな脅し文句使いたくない。
でも背に腹は代えられない36歳。

ガブ「(危なかった・・・・・・・・・!)」

ヴァン「くそーっ。まさかパンネロとつながってるとは・・・・。」

ガブ「菓子は美味いか?」←面白がってる

ヴァン「美味い。でもムカつく。」

ガブ「食い散らかすなよ。」←面白がってる

ヴァン「子供扱いすんな!」

ガブ「子供は押し倒したり舐めたりはしないな。」←したり顔

ヴァン「もーっ!なんでそんな口が達者なんだよ!パンネロみたいだ!ヾ(*`Д´*)ノ"」

ガブ「それは褒めているのか?貶してているのか?」←可笑しくてたまらない

その為の自給自足&ワンシーンSSPageTop黒&ワンシーンSS

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