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十cm

ヴァン×ガブラス

無邪気な攻めも悪くないと思いました。
(なんだそりゃ)














座っている時はあまり良くわからないし、気にもならない。
けど、立つと、その差ははっきりくっきりしていて、どうしようもないぐらいヴァンを苛立たせた。
別にガブラスが悪いわけじゃない。
ヴァンが悪いわけでもない。
それでも、ヴァンは面白くなかった。

(大体さ、アレもコレもキライで、なんでそんなデカくなるんだよっ)

ヴァンは心の中で毒づいた。
ガブラスの好き嫌いの激しさは、バッシュから聞いている。

ヴァンの機嫌が悪い原因は、二人の身長差にあった。
漸く百七十cmの大台に乗ったヴァンよりも、ガブラスは更に十cm背が高い。
あれだけ重たい鎧を四六時中着ているのだから、ちょっとぐらい縮んでも罰は当たらないだろうと思うのだが、今年の健康診断でも身長と体重は変わらなかったらしい。

ヴァンの年齢からして、まだ伸びる余地はあるとは思うが、それでもこれから十cmは厳しい。
ヴァンとしてはガブラスよりも背が高くなりたいから、それでは足りないぐらいなのに。

ヴァンが一人むくれていると、目の前にほかほかの湯気の立つカップが置かれた。
見ればミルクティーで、スコーンが添えてある。
きっと、ヴァンの機嫌を取っているのだ。
自分が忙しくて全然構えないから、ヴァンがスネていると思っているのだ。
だから仕事中の片手間でも、茶をいれてくれたに違いない。
小さい子供じゃないんだ。
そんな事ぐらいで不機嫌になるかよ。
ヴァンはまた心の中で文句を言った。
ガブラスは仕事でダルマスカに来ているのだから、忙しい事ぐらい分かっている。

ガブラスの部下が揃って出て行って、部屋の中は二人きりになった。
ガブラスは相変わらず何かの資料を整理していて、ほんのり甘いミルクティーもスコーンもヴァンが好きな味で、誰も喋らないから部屋の中は紙がこすれる音しかしなくて。

「パンネロと喧嘩でもしたのか?」
「違うよ。」

とんとん、と角を揃えた紙束をファイルにとじて、ガブラスはやっと喋った。
それはまったく見当違いではあったけれど。
きっと、ヴァンがまだ不機嫌な理由が分からないに違いない。

ヴァンは立ち上がった。
足音高くガブラスに近付いて、至近距離に立って、ガブラスがヴァンを見るまで待った。
ヴァンは、見上げなくてはガブラスの顔が見えない。
ムカついた。
ムカついた勢いのまま、ガブラスの服の襟を掴んだヴァンは、少しだけ背伸びをして、キスをした。
ガブラスは相当驚いたようで、その顔を見たらちょっとだけ気が晴れた。

「・・・何のつもりだ?」
「スキあり。あんた、オレの事ナメてるだろ。気ィ抜き過ぎ。」
「-----余り良い趣味だとは言えないな。大人をからかうものではない。」
「からかってないよ。本気だもん、オレ。」

そう言って、もう一度キスしてやった。
ガブラスには数秒してから”本気度”が伝わった様で、白かった肌が耳まで赤くなって、それから慌ててヴァンから離れた。

「逃げるなよ。」
「その様なつもりはない。そうじゃない。いや、その、そうではなくて--------」

咄嗟にヴァンが追いかけようとすると、ガブラスは右手で制して、左手で口許を覆った。
何か、必死で考えている様だ。

「じゃあなんだよ?」
「何と言うか--------」

口を隠したままガブラスは黙り込んで、何か見知らぬ”モノ”を見る様な目で、ヴァンを見た。
そこまでドン引きされるとも思わなかったから、ヴァンが後悔し始めたその時だった。

「君が-----これは私の偏見なのだろうが、君がそう言った感情を持っているとは思わなかったんだ。」
「はあ?オレ十七だよ?もっと子供に見えてたって事?」
「そうだな・・・・歳は知ってはいたが、何と言ったら良いか・・・・・。」

一体、何だと思われていたのだろう。
聞いてみたい気もしたが、ガブラスもうまく説明できなさそうだから、やめた。

ヴァンはもう一度、ガブラスに近付いた。
すると、ガブラスは近付いた分だけ、後ろ歩きで離れた。
超がつくほど警戒されている。

「・・・・・・何故私なのだ。私が君の兄に何をしたか、忘れたわけではあるまい。」

ぽつりと聞こえた小さな声と、大きな疑問。
そして絶対言われると思った言葉を聞いて、ある意味安心した。
ヴァンは一度足を止めて、ガブラスを真っ直ぐ見上げた。

「美味い飯作ってくれるだろ?美味いおやつも用意してくれるし、美味い茶も淹れてくれる。」
「・・・・・・・私は知らぬ間に君を餌付けしていたと言う事かね?では兄の事は忘れたと?」
「忘れてないよ。でも、一番の理由はな?・・・・あんたが同情でも仕事でもなく、ちゃんとオレを見てくれた事だから。」
「?」

ガブラスは小さく首を傾げた。
その仕草はバッシュと良く似ていて、離れて暮らしている時間が長くても、兄弟なんだな、と思った。
ヴァンには、レックスに似ている所はあっただろうか。

「だってさ、面倒見なきゃいけない国の民じゃなくて、身寄りのない孤児じゃなくて、バッシュの知り合いでもなく、あんたは一人の個人としてオレときちんと向き合ってくれるだろ?」
「それは当たり前の事では無いのか?」

あまりに真面目に返されて、ヴァンは声を上げて笑った。

「あんた、オレらが今もどこに住んでるか、知ってるだろ?帝国兵なんか未だに顔を見るとドブネズミ扱いしてくるぜ。ま、慣れてるからいいけどさ。」
「・・・・・それは慣れて良い話ではあるまい。」

低い、怖い声だった。
そしてガブラスは少しうつむいて、口許に手を当てて、何か真剣に考え始めていた。

ダルマスカには今も帝国兵の駐屯所がある。
ガブラス達ジャッジがラバナスタに出入りする様になってから数は減ったが、それでもいなくなったわけではなく、相変わらず自分達がこの世で一番エラいんだとでも言いたそうにふんぞり返って歩いている。
自分達だって大して役に立ってはいないクセに、ヴァン達の様な孤児は、使い道がない上に、犯罪しかしないと思っているのだ。
(確かにヴァンも色々やらかしたが、それでもダルマスカをめちゃくちゃにした帝国に比べたら可愛いものだと思う)
ヴァンやパンネロ、年長者はまだ良い。ミゲロさんや大人達の手伝いができる。
しかし、十歳にもならない子供が、親を失って何ができると言うのだ。
ダウンタウンには、そんな子供が沢山いた。
ヴァンとパンネロだけでは守り切れないぐらい、沢山いた。

「そうやってあんたはきちんと向き合って考えてくれるだろ。だからだよ。」
「!」

思いの外近くでヴァンの声がして、ガブラスは驚いたようだった。
彼が考え込んでいる間に、ヴァンは間合いを詰めていたのだ。
ガブラスは慌ててまた距離を取ろうとして、脚が執務机に当たった所でため息を吐いた。
きっと、諦めたのに違いない。

「オレ、子供じゃないよ。」
「・・・・・・・・そうだな。」
「オレ、本気だよ。」
「もっと健全な恋愛をすべきだ。」
「ケンゼンって何?オレがあんたを好きな気持ちはケンゼンじゃないのか?」
「-------純粋ではあるのだろうな・・・。」

そしてガブラスはやっぱり大きなため息を吐いて、ヴァンの髪をくしゃりとかき混ぜた。
くすぐったくて、うれしくて、ヴァンは目を細める。

「見てろよ。今にあんたよりデカくなってやるから。」
「期待せずに待っていようよ。」
「だから暫くメシは魚にしてくれ。肉はがんばってガマンするから。」

真っ直ぐ見上げるとガブラスは目をまたたいて、そして笑った。
ほんの少しだけだったけど、ふんわりした、優しい顔だった。


最初、これをアンケートにお応えSSにしようと思ったのですが、なんか違う気がしたので、普通のSSとしてUpさせて頂きました。
馴れ初め編みたいな感じになりましたが、書かないと次のヴァンガブが書けなくて、取り敢えず急いで書いた感じです。

ガブラスさんには、ヴァンは純真無垢&天真爛漫に見えていた様です。
十七歳だと言う事は知っているし、それぐらいの歳になれば惚れた腫れたがあってもおかしくないとも分かっているけれど、ヴァンと色恋を繋げて考えた事が無かったから、相当びっくりしたんだと思います。

あと、文中にガブが毎年健康診断受けている描写がありますが、私の勝手な思い込みです。
でもあると思うんだ・・・・。


ガブ「大体、私の何が良いと言うのだ。幼馴染の娘がいるだろう?」

ヴァン「あのさ、あんた幼馴染、いないの?なら教えてやるけどな?幼馴染ってさ、確かに付き合いは長いけど、その分知られたくない事は知られてるし、覚えてられたら困る事もがっつり覚えられてるんだよね。弱み握られ放題なわけよ。」

ガブ「ああ、言われてみれば兄弟と変わらんな。」

ヴァン「え?バッシュの弱み握ってんの?」

ガブ「私の弱みも握られている。-----その様な期待に満ち満ちた目で見つめられても教えるわけにはいかんな。」

ヴァン「ちぇーっ。」

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