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天空に日の射す

ドレイス×ガブラスです。

当SSはキリリクを下さいましたゆりあ様への捧げものとなっておりますので、御了承下さい。














言い出したのはギースだった。
それを受けて日程を調整してくれたのはザルガバースで、ヴェインや局への根回しはベルガがやってくれた。
そこまでやってもらったのに、そうまで期待されたのにも関わらず、ドレイスは落ち込んでいた。

良く晴れたビュエルバの、近頃流行りの店でランチを楽しむ。
確かに洒落た内装の中、手の込んだ料理は美味しかった。
ドレイスのお喋りに彼の男は丁寧に頷いてくれて、時には言葉を返してくれる。
だから、ドレイスは嬉しかったのだ。
舞い上がる程に。
まるで夢かと、己の頬をこっそり抓る程に。

しかし、夢は所詮夢だった。
吹き抜ける風に現実に立ち戻れば、はしゃいでいるのはドレイス独りで、共に食事を楽しんだはずだった男は、常日頃と変わらず、淡々と、静かにただそこに居るだけだった。

----そんなに惚れているならデートの一つでもして来いよ。----
----流石に妙齢の男女二人で出掛ければ、あの朴念仁も何か感ずる所があるかも知れんぞ?----

にやにやと笑う同僚達の、冗談半分、本気交じりの言葉が脳裏に蘇る。
彼らも業を煮やしているのだ。
いつまでも進展しないドレイス達に。

しかし、やはり、何も変わらなかった。
ドレイスが行きたい店があると言えば、ガブラスは事前に予約を取っておいてくれた。
ドレイスが道すがら、何か興味を引かれた様子を見せると、ガブラスは必ず立ち止まってくれた。
優しいのだ。
だが、それだけなのだ。
きっと、それは誰に対しても------------彼の生まれ持った素の性格なのだと思うと、自分が馬鹿みたいに思えた。

折角の休みを丸一日使って一緒に過ごしてもらったが、ガブラスは楽しかっただろうか。
ドレイスばかりが楽しくて、嬉しかっただけなのでは無いだろうか。
そう思うと、遣る瀬無くなった。

「ドレイス?」
「うん?え?何?」

不意に話し掛けられて、物想いに耽っていたドレイスは、唐突に現実に引き戻された。
慌ててガブラスを見上げる。
ガブラスは、どこか遠くを見ていた。
ドレイスも、その視線の先を目で追ったが、何を見ているのかは分からなかった。

「少し、ここで待っていてもらって良いだろうか?」
「ええ。勿論。」
「すまない。すぐに戻る。」

そう言って、ガブラスはすぐに雑踏の中に紛れてしまった。
その背を見送って、溜息を吐いたドレイスは、道の端に寄って店の壁に寄り掛かった。
空を見上げる。
抜ける様な青さだったそれは、既に大分赤く染まっていた。
もう日が落ちる。
------------------夢の時間は、間もなく終わりを告げようとしていた。


「お姉さん。ねえ、聞いてる?ねえってば。」

すぐ傍で誰かの声がする。
誰かを呼んでいる。
そのうちに肩を叩かれて、ドレイスは視線を天から下ろした。
そこには、見知らぬ男が何人か立っていた。

「どうしたの?一人で。」
「どうしようが私の勝手だろう。」
「お姉さんアルケイディア人だろ?一人でいると危ないよ?ビュエルバじゃあまだ帝国は敵扱いだ。」
「御心配無く。自分一人の身を守るぐらいは出来る。」
「でもやっぱり危ないよ。俺らさ、これから浮雲亭に行くんだけど、一緒にどう?」

言うなり、男はドレイスの手を掴んだ。
ドレイスは眉を寄せた。
投げるか。しかしそれでは余りに人目を引く。------------腹に一発見舞えば然程目立たず、彼らも早々に諦めるに違いない。
そう思って、ドレイスがもう一方の手を拳に握った所だった。

「私の連れに何か用かね?」
「!」

突然掛けられた威圧感のある声に、男がドレイスの手を離した。
ドレイスは、既に構えていた拳を咄嗟に背後に隠した。
男が振り向く。
そして身構えて、仰け反る様にガブラスを見上げた。
既に及び腰である。

「なんだお前!」
「すまなかったドレイス。一人にするべきでは無かった。」
「ガブラス・・・・・・・あ・・・貴方のせいじゃない。」

ガブラスは男達とドレイスとの間に割って入って、振り返ると、ドレイスの隠した拳にちらりと目をやった。
ばれている。
ドレイスは、心の中で舌を出した。

男達のうちの一人が引き攣って、ドレイス達を何度も見比べていた。
小声で囁き合っている顔には、冷や汗が浮かんでいる。

「ド・・・・ドレイスとガブラスって・・・・」
「あ?知ってんのか?」
「バカかお前!ジャッジマスターだよ!帝国の!」
「あっ!げっ・・・・・・・!」

なんでこんな所にいるんだよ!
叫んだ男に、周辺の通行人が何事かと振り返った。
ドレイスが笑って誤魔化すと、すぐに人目は無くなる。
流石に観光地だけあって、多少の騒ぎなら皆慣れている様だ。

「私達は善良な一帝国民として偶の休日を楽しんでいるだけだ。」
「ぜ・・・善良って・・・・・・・・。」
「無粋な邪魔はされたくない。分かったのなら今あったことは忘れて、諸君らも今日と言う日を楽しむが良い。」

一応食い下がろうとはした様だが、それは口だけで、男達は引き攣りながら後退りを始めていた。
そして初めて聞いた割には新鮮味の無い捨て台詞と共に散り散りに逃げて行って、その後ろ姿が見えなくなるまで睨みつけていたガブラスは、ゆっくりと振り返った。
腰の後ろで手を組んだドレイスは、そっぽを向いて口笛など吹いてみる。

「血の気が多いのは結構だが、ヒュムがいきなり倒れたら大事になるとは思わなかったのかい?」
「手加減はするつもりだった。」
「ドレイス?私の目を見て話してくれないか?」
「・・・・・・・・・・・・はい。」

向き合ってはみたが、やはり正視はしにくい。
ちらりと上目使いで見上げると、ガブラスは大きな溜息を吐いた。

「怒った?」
「そうすべきか否か、考えている所だ。」

出来れば怒って欲しくない。
ドレイスは小さな子供になった気分で俯いた。
ガブラスが怒る(かどうか悩む)のは、当然だった。
大きな騒ぎになれば警備兵が飛んで来るだろうし、そうなれば如何に非が無かろうと身許を確認されるのは当たり前で、ジャッジマスターだと知られれば、最悪オンドール候にまで話が行ってしまう可能性もあった。
表向き和解は成立しているが、帝国とビュエルバの緊張関係は未だに続いているのが事実で、そんな時にジャッジマスターが火種になるなど、帝国にとってもビュエルバにとっても歓迎される話ではない。

ガブラスは、暫く眇めた目で遠くの空を見ていたが、やがてその視線をドレイスに向けた。
ドレイスは緊張した。
矢張り怒られるのだ。

しかしガブラスは軽く溜息を吐いて、ドレイスが顔を上げると、視界に入ったのは優しい顔だった。
ドレイスが大好きな、表情のうちの一つだ。

「君に怪我は無いんだね?」
「はい。」
「分かった。さて----------------もう日が沈む。疲れたかい?」

ガブラスの問いに、ドレイスは首を振った。全力で振った。
その反応が面白かったのか、ガブラスは小さく笑った。
柔らかい表情に、ドレイスの顔も緩む。

「もう一軒、良い店があるんだ。君さえ良ければ夕食も一緒にどうかな。」
「行く。」

即答すると、ガブラスはまた笑った。
ドレイスはうっとりと見惚れている己に気付いて、慌てて目を逸らした。
きっと今の自分は、緩んだ、間の抜けた顔をしているのだろう。
そう思うと恥ずかしくなって、顔どころか全身が熱くなった。

そうこうしている間に、ガブラスは歩き出してしまった。
慌てて後を追おうと一歩踏み出したドレイスの目の前で、ガブラスが振り返る。
ドレイスが咄嗟に踏みとどまると、ガブラスは、完璧な身のこなしで優雅に一礼した。

「それでは姫様、御手を。」
「-------------------!」

恭しく差し出された手を、ドレイスはそっと握ってはにかんだ。


ガブラスが一旦居なくなったのは、通行人の中に指名手配犯見掛けたからとかそんな感じです。
で、局に連絡取りに行って戻って来たら、ドレイスがこっそり鉄拳構えてて慌てた次第です。

積極的なガブラスさんは恰好良いですね!
なんか普段書くのはお疲れ気味のガブラスさんばかりなので、新鮮でした。
何が恰好良いって、本人は特に飾ったりせず、素っていうのがね!

元々おっとり紳士的な人なんだと思います、うちのガブラスさん。
ランディス滅亡まで親と兄とに大事に育てられて来て、その後は地獄を見たにしても、幼少期~青年期の人格形成期は幸せだったでしょうから。

キリリクありがとうございました!
お気に召しません様でしたら書き直しますので、遠慮無くお申し付け下さいませ。

ギー「最早ガブラスはわしが育てたって言っても過言では無い!(キリッ」

ベル「やっぱり一芸仕込んだのお前かw」

ギー「仕込むだなんて人聞きの悪い。私はただ、公安総局随一の美人を連れて歩くのだから、心得て置く様に・・・と重々噛んで含めて言い聞かせただけだ。」

ベル「やっぱり仕込んだんじゃん。」

ザル「あれも帝国暮らしが長いからな。エスコートの一つも知らなければ政民は務まらんだろうよ。」

ベル「まあ・・・・・・ガブラスも良く考えると不憫以外の何者でもないよな。」

ギー「そこは良く考えたら負けだろう。」

ザル「卿は楽しそうだな・・・・・」←溜息。

ギー「楽しいからな。」←ドヤ顔

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声フェチでオッサン好きのヘタレ。
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