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昏黒の夢<8>

最近ヴェイン様のキャラクターイメージが固まって来た気がします。
遅いね!










ヴェインが見舞いに行くと、ガブラスは安堵した表情を浮かべた。
何も言っていないのに、局員達が次々と退室して行く。
ガブラスが口を開いたのは、人気がすっかり無くなってからだった。

「お怪我は?」
「無い。」

ヴェインの返答に浮かんだ、微かな笑みが痛々しい。

ベッドの端に腰掛けたヴェインは、目を伏せた。
改めて見ると、随分と痩せた。
原因は何なのか、そして誰なのか、分かっている。
己の事ばかりに気を取られ、ガブラスを見ようともしていなかった事に初めて気付いた。

「何故、私を庇った?」
「務めですので。」

きっぱりと即答されて、ヴェインは一瞬鼻白んだ。
それでも気を取り直して、ヴェインは問いを重ねた。

「私が死ねば良いとは思わなかったのか?」
「思いませんでした。」
「本当の事を言え。」
「嘘は申しておりません。帝国の為、ソリドールの為に在るのがジャッジです。」
「私を恨んでいるのだろう?」
「いいえ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ではあの時、天に捧げた祈りは、願いは何だったと言うのだ。

黙り込んだヴェインは、ガブラスを睨み付けた。
ガブラスは、ただ静かにヴェインを見つめ返している。

「・・・・・・・・閣下は刃を向けた私を御赦し下さいました。」
「あれは故あっての事。それに済んだ話だ。」
「いいえ。如何なる理由があろうとも反逆は反逆です。一命を以て贖わなければならなかった大罪を、御赦し頂いたのです。」

ガブラスは、天井を見上げた。

「あれ程グラミス様に重用して頂いた御恩を忘れ、ラーサー様にも全幅の信頼を置いて頂いているのにも関わらず、私は私情に拘り何一つお返ししませんでした。その上死して然るべきこの命をヴェイン様の御厚情により永らえて、そうまでして頂いて、どうして閣下に死ねなどと思えましょう。----------------------ヴェイン様。」
「なんだ?」
「私はジャッジです。ジャッジは主家を護る為に在り、その主家はソリドールなのです。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

それは、彼の中で絶対なのだろう。
この上ヴェインが何を言っても、ガブラスが一歩も譲る気が無いのが見て取れた。
ヴェインが諦めとも取れる溜息を吐いた後、強い眼差しを緩めたガブラスは、ゆっくりと目を閉じて、そして開いた。

「ヴェイン様。」
「うん?」
「もう一つ、申し上げたい事がございます。宜しいでしょうか?」

ガブラスの問いにヴェインは頷いたが、ガブラスは疲れたのか一度口を閉ざした。
暫し黙り込んで、そしてヴェインが不審に思い始めた矢先、意を決した様にヴェインに顔を向けた。

「以前----------------ヴェイン様が仰せになったお言葉の事です。」
「?」
「その・・・・・・・・・・私に触れるのが嫌なのか、とか、そう言った趣旨の事をおっしゃられましたが、覚えておいででしょうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ。言ったな。」

どこか控え目なガブラスの問いに、ヴェインは途端に面白く無くなった。
明らかに不機嫌になったヴェインの頬に、ひやりと何かが触れた。
目線だけ移動してその正体を確かめると、それは血の気の失せたガブラスの手だった。

「冷たい。」
「申し訳ございません。」

ヴェインの端的な言葉に、ガブラスは咄嗟に手を引いた。
ヴェインはそれを惜しく感じた。

「私は、ヴェイン様に触れるのが嫌だなどと、思った事はありません。」
「ならば何故触れようとはしなかった?あの時私に縋れば要らぬ怪我をせずに済んだ。」

思いの外きつくなった言葉に、ガブラスは目を伏せた。
そしてヴェインをちらりと見上げて、また伏せて、口を開きかけて、噤んで、ヴェインが苛立ち始めた事に気が付いて、もう一度溜息を吐いた。

「その・・・・・・・・・あの・・・・・・・・・・・・・・・。」
「なんだ。早く言え。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・その、・・・・・・・・私の力で縋っては、御身を傷付けてしまうと思ったから・・・・・・・です・・・・・・・・。」
「は?」

ガブラスの蚊の泣く様な声に、ヴェインは自分でも驚く様な声を挙げた。
近年稀に見る-----------------どころか生まれて初めてかもしれない。ここまで緊張感の無い声が出たのも。
呆けた表情のままガブラスを見下ろすと、当代随一のジャッジマスターは耳まで赤くして、そしてそれを隠すかの様に毛布を鼻の付け根まで引き上げた。

「先にも申しました通り、私の務めはソリドールを、ヴェイン様をお護りする事です。その私が傷を付けては本末転倒。加減をすれば良いだけの話ではありますが、その・・・最中ですと、己の思う様には行かず・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

毛布越しのくぐもった声は、最終的に殆ど聞こえない位に小さくなって、それきりガブラスは黙り込んでしまった。
ヴェインはガブラスが毛布を被ってくれて良かったと思った。
何故なら、ヴェインの顔も真っ赤になっていたからである。

大きな深呼吸を繰り返して、気を取り直したヴェインは、立ち上がった。
そして毛布の端を掴んで、力任せに剥ぎ取った。

「あっ・・・・・・・・・・!」
「よもやその様な理由だったとはな、馬鹿馬鹿しい。」
「申し訳ありません・・・・・・・・・・。」

怒った素振りを見せながら、ヴェインは妙に安堵している己が不思議だった。
長らくガブラスの真意を知れなかった事が、思いの外不安だったのかもしれない。
ただひたすらに、忠実である事。
それが、バハムート戦役を経て出したガブラスの結論なのだろう。

今度はヴェインがガブラスの頬に手を当てると、目を閉じたガブラスは手を重ねてくれた。
冷たいのに、何故か温もりを感じる手だった。

「この身この心はソリドールの為に。」
「ソリドールでは無い。私の為に在れ。」

ヴェインの言葉にガブラスはゆっくりと目を開いて、静かなブルーグレイでヴェインを見上げた。

「それが御望みとあらば。」
「但し、命はもう少し惜しめよ。早々に死なれては敵わん。」
「-------------------------はい。御意のままに。」

しっかりとした返事を聞いて、気が済んだヴェインは体の力を抜いた。

あれ程沈んでいた気分はいつの間にか穏やかなものに変わっていて、去り際に身を屈めてガブラスの額に軽くキスをすると、ガブラスは擽ったそうに目を細めた。


去り際のデコちゅー、後で超恥ずかしくなったヴェイン様が頭抱えて内心悶絶しまくるオチを用意していましたが、入れたらダメな気がしたのでここで書く。

そんなわけでヴェイン様のドツボ編は終わりです。話そのものはもう一話ありますが。そしてもう一話入れようと思っていた話があったのを忘れてたのねー・・・orz
書き始めた当初は全五話ぐらいで終わらせるつもりで書いていたので、随分と長引いたね!

ガブは、ラーサー様が生まれる前からヴェイン様を知っています。
だから弟の誕生を喜んだヴェイン様も、兄皇子達を手に掛けたヴェイン様も知っていて、なまじ近くに居た分、その胸の裡も何となく見えていたのでは、と思います。

ちなみにうちのヴェイン様は兄達の暗殺までは素直で真面目に帝国&ソリドールの為に生きて来た人で、だからこそ父親に「ソリドールの為」と言われて已むなく自らの兄弟に手を下しました。
その頃まだ幼かったラーサーは素直に可愛く育ったけれど、結局グラミスとの関係は上手く行かないまま時間だけが過ぎて、最終的に暗殺事件に行き着いてしまったのでは・・・と言う解釈です。私はね。

家族が居るのに不仲のヴェイン様と、仲が良かったのに早くに離散してしまったガブと言うそれぞれの背景もまた、恰好のネタになりました。

ヴェ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ガブ「どうされましたか?」

ヴェ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その・・・・・なんだ・・・・・・・・・。」

ガブ「はい?」

ヴェ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、・・・・・・・・早く治せよ。」

ガブ「はい。」

ヴェ「け、卿が居らねば仕事が進まんのだ!」

ガブ「はい。」

ヴェイン様は素面でツンデレ。



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