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願いを<7>前 Vann

長いので前後編に分けました。

そして前話から大分話が飛んでいますが、御勘弁を。
毎度のことだね!すみません!















「なあバッシュ、あの話なんだけどさ。」
「もうヴァンったら。いい加減ノックぐらい覚えなよ。」

特に気にせずドアを開けると、室内に居た二人の将軍が同時にヴァンに視線を向けた。
パンネロが困った様な表情を浮かべながら後に続く。

「やあいらっしゃいヴァン、パンネロ。」
「こんにちはバッシュ小父様。」
「なあってバ---------------」

にこやかなバッシュとパンネロの声を聞きながら、不意にヴァンは言葉を失った。
怪訝そうに首を傾げたパンネロが、幼馴染の見据える先に視線を移す。
パンネロは息を呑んだ。
その間にヴァンはソファに腰掛けた男に大股で近付いた。

「あ・・・・ヴァン待って!」
「なんであんたがここにいるんだよ!?」
「仕事さ。リハビリを兼ねてね。」

パンネロの制止を無視したヴァンの問いに答えたのは、問い掛けられた本人ではなく、バッシュだった。
漸く書類から顔を上げた男はバッシュと同じ顔で、その顔を怪訝そうにバッシュに向ける。

「ヴァンだよ。覚えていない?バハムートで会った筈だけど。」
「お前、あの状況で一々相手の顔を覚えていると思うか?」
「だよねえ・・・。」

男---------------ジャッジガブラスの呆れた様な切り返しにバッシュは苦笑いを浮かべる。

ガブラスはバッシュの双子の弟だ。
同じ顔であるのを良い事に、バッシュの振りをしてラミナス王を暗殺し、ダルマスカ騎士団を嵌めた挙句、レックスを壊し、最終的には死に追いやった。
ヴァンにとってはガブラスこそが兄の仇だった。

割り切ったつもりだった。
だがガブラス本人を目の前にしたら、怒りで全身が埋め尽くされた様だった。

ソファに片膝で乗り上げたヴァンは、平然としているガブラスの襟首を掴んだ。
パンネロが短い悲鳴を上げる。

「あんたが兄さんを・・・!」
「?バッシュ、説明しろ。」

ヴァンの手を敢えて振り払う事も無く、ガブラスは兄に視線を向けた。
指名を受けたバッシュは一瞬目を伏せたが、珍しく溜息を吐いて、近くにあった執務机に寄り掛かり、腕を組んだ。

「その子の兄はね、ラミナス王の暗殺事件の時、現場に居たんだよ。」
「それで?」
「・・・・・・ヴァンを見ても分からないかな?私は良く似た兄弟だと思うけれど。」

兄に促されたガブラスは初めてまともにヴァンを見た。
暫く無言で見つめていたが、結局視線をバッシュに戻す。

「覚えていない?」
「一々倒した敵の事など覚えていられるか。」
「倒してはいないな。」

バッシュの穏やかな言葉にガブラスは何か気付いたのか、再びヴァンを見据えた。

「------------------------ああ、そう言えば捕らえたのが居たな。」
「やっと思い出したのかよ!」
「そうか。君は彼の身内か。それで?良い機会だから復讐しようとでも?」

あまりに平然とした様子に、ヴァンは一瞬何を言われたのか分からなかった。
頭の中が真っ白になった。

ガブラスはレックスの事など憶えていなかった。

怒りで我を忘れるなど、所詮はものの例えだと思っていたが、そうではない事をヴァンは生まれて初めて知った。
掴んだままの襟首を力任せに前後に揺さぶる。

「ふざけんなよ!!たった一人の兄さんだったんだぞ!!兄さんしか居なかったんだぞ!!」
「ちょっとヴァン、やめなよ!」
「では君はわざわざ敵の話を聞いて、汲むべき事情があれば見逃すべきだとでも言うのかね?戦場で?随分と悠長な話だ。」

激昂するヴァンとは対照的に、ガブラスは冷静だった。
止めに入ったパンネロを振り払ったヴァンが、再び襟首を掴む。
鼻で嗤ったガブラスは、その手を軽く払い、襟を正した。

「剣を携え、騎士団の名を負って戦地に立ったのならば、本人も身内もそれなりの覚悟をするべきでは無いのかね?君はそれが出来ていなかった。それだけの話だろう。」
「------------------------!」

いとも容易く言われ、ヴァンは絶句した。

「落ち着け小僧。」
「・・・・・・・・・・。」

そこへ割って入ったのはウォースラだった。
ヴァンをガブラスから引き離して、己の後頭部を雑に掻く。

「まあ何だ・・・俺達が生きているのはそう言う世界なんだよ。帝国に勝って、陛下も御護り出来ればまた話は変わっただろうけどな・・・。俺達はそのどちらも失敗した。だから」
「あんたはそれで納得できるのかよ!?」
「出来るかァッ!」

説いて伏せる様な言葉を遮って怒鳴ったヴァンを、溜まり兼ねた様にウォースラが一喝した。
睨み上げるヴァンを真っ直ぐ睨み返したウォースラは声を絞り出す。

「出来るわけ無いだろうが・・・!だから戦ったんだろうが!お前の兄貴だって------------レックスだってそうだったろうが!!それでも負けたダルマスカにモノ言う資格なんざ無いんだ!戦争ってのはそう言うものなんだよ!!」
「だけどさ!!だけど・・・・・・!!」

それ以上言葉は出なかった。
苦しくて、悲しくて、零れそうになった涙を根性で堪えたヴァンの頭を慰める様に優しく撫でてくれた手があった。
見上げると何とも言えない表情を浮かべたバッシュが居て、その傍にはヴァンよりも泣きそうな顔をしたパンネロがきつく口を引き結んでいた。


ヴァン目線の話って今一つ書いた記憶が無いので新鮮・・・!
そもそもヴァンが出て来る作品って少ない・・・。

ところでニェロ可愛いね!
ニェロならガブの事も「ノア小父様」って呼んでくれると信じています。
そして名で呼ばれるのは嫌だけど、でも何となく断り辛くて困っているガブラスさんも見たいです。

・・・さて。
ガブラスはレックスの事を覚えているかな?どうだろう?
考えました。
・・・多分、覚えていないだろうなと思いました。

レックスは弟思いの優しい真面目な青年で、私も大好きなキャラクターです。
が、ガブラスから見ればダルマスカの一般兵で、偶々そこに居たから利用しただけに過ぎないわけで。
名前は勿論知らないし、顔すら覚える必要性が無いだろう、と。
バッシュ共々捕まえた後は報告を聞くだけで会う事も無かったのではないかと思います。

盛り沢山PageTop復活!とワンシーンSS

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