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ジャッジハウゼンの憂鬱<2>

これで終わりですー。









ハウゼンはまたもや腹の底から嘆息を絞り出していた。
結局、聞けず仕舞いのままハウゼンは任務に駆り出されているわけだが。

振り上げた剣は、何も考えずとも身に沁みついた型の通りに相手を斬った。
血飛沫が舞って、見ず知らずの他人が苦鳴と共に倒れる。
誰かの命を奪う事など、いつまで経っても慣れるものでは無いが、躊躇えば己の身が危ぶまれるのだ。

「向こうに逃げたぞ!」
「追え!誰一人として生かして残すな!」

走り去る同僚達の怒号を聞きながら、ハウゼンもまた駆けていた。
直接話をさせて貰えないのなら、別の形でガブラスに詫びるべきなのだ。
ガブラスはソリドールに仇為す者を許さない。
だから、ハウゼンも許さない。それだけだ。


突然、右胸に重い衝撃と鋭い痛みを感じて、恐る恐る視線を下ろすと、そこにはボウガンのシャフトが生えていた。

「ハウゼン!」
「え・・・?あ・・・局ちょ----------------」

叫ぶ誰かの声を遠くに聞きながら、目蓋の裏に浮かんだ者の名は、最後まで言えなかった。


俺、このまま死んでしまうのかな。
局長に謝り損ねてしまったなあ・・・。
すみませんでした局長。
もっと早く謝らなきゃいけなかったのに。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
局長、ごめんなさい。
俺が馬鹿でした。
ごめんなさい。


「謝るのが好きなのか?」
「!?」

冥途への旅路の筈なのに聞き覚えのある声を耳にして、ハウゼンは一気に覚醒した。
そのままの勢いで横を向くと、私服姿のガブラスが椅子に腰掛けている。

「局ちょいだだだだ!?」
「無茶をするな。」

飛び起きた拍子に胸に激痛を感じて、ハウゼンは己を抱き込む様に身を折った。

「傷こそ塞いだが完治したわけでは無い。」
「どうして・・・・。」
「私はどうした、と問いたい所だがな。」
「?」
「譫言で私に謝り倒していた。処分は無かった筈だぞ。」

ガブラスの問いを受けて、ハウゼンは顔を伏せた。

「・・・・・・・そんなわけないです。あんな騒ぎになったのに、何も無いなんて有り得ないです。」
「処分は下されなかった。それが現実で事実だ。」

ハウゼンの蚊の鳴く様な声に対して、ガブラスは相変わらず張りのある美声である。

「・・・それに局長に多大な御迷惑を・・・・・・・。」
「それも務めの内だ。局員の尻拭いなど今に始まった事では無い。」
「だって局長!いてて・・・だって・・・会議で責められたと聞きました・・・!」
「誰だその様に適当な事を言ったのは。責められる謂れなぞ無い。」

きっぱりと言い切ったガブラスに、ハウゼンは弱々しく首を振る。

「・・・無いわけないです。私が行きずりの他人にラーサー様を任せた事には変わりないのですから。」
「その判断は正しかったと言える。」
「そうでしょうか・・・?」
「ジャッジが付いて歩けば帝国の要人である事など誰にでも分かろう。返ってそれが危険を呼んだやも知れん。」
「・・・・・・・何事かあったかも知れないです。」
「結果としてラーサー様の御身には何事も無かった。それが答えだ。誰が何と言おうとな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「私個人としても君の人の見る目は買っているつもりだ。」

ガブラスの言葉に、気が付いたらハウゼンの頬には涙が伝っていた。
名を挙げなくても、ガブラスはハウゼンを知っていてくれた。

我慢しようと思った涙は次々溢れ出て、せめて嗚咽を漏らしたくなくて唇を噛み締めた。
驚いた様子のガブラスに気付いて、ハウゼンは俯いた顔を両手で覆う。

「どうした?傷が痛むのか?医師を」
「良いんです。違うんです。」

ガブラスを制した声は情けない程に震えていた。

出自が何だ。皇帝の寵愛を受けているからどうした。
彼を賤民と罵る連中の方がよっぽど卑しいではないか。
ガブラスが重用されるのは、ガブラス自身が弛みない努力を続けているからだ。
そんな事も知らずにガブラスを見下す連中が、ハウゼンは大嫌いだった。

ハウゼンは他の誰でも無い、ガブラスの下で働ける事が何よりも誇りなのだ。
ガブラスは自他共に厳しいが、同時に山ほど居るうちの一人に過ぎない部下の怪我を案じてくれる程に優しい。
ハウゼンの処分にしても、ガブラスが取り成してくれたからとしか思えない。
そうでなければ、ハウゼンの首は間違いなく飛んでいた。


乱雑に目元を腕で拭ったハウゼンは、痛む傷を誤魔化しつつ、ベッドの上で姿勢を正した。
そしてガブラスに向き直ると、真っ白いシーツに手を突いて、限界まで頭を下げた。
額がシーツに付いたが、心情的にはそれでもまだ足りない。

「局長。この度は私の不手際にて多大な御迷惑をおかけし、誠に申し訳ありませんでした。」
「・・・・・・養生をして、充分に傷が癒えたら局に戻る様に。」
「はっ!痛ッ・・・!」

気合を入れて返事をしたら漏れなく胸の傷が痛んだ。
見兼ねたらしいガブラスに横になる様促されて、素直に従って見てみれば心優しい局長は微かに苦笑いを浮かべている。

その面差しを見て、ハウゼンはざわめき続けていた胸の裡が漸く落ち着きを取り戻した事に安堵の息を吐いた。


勢い余ってハウゼン話書いちゃったw

ハウゼンの性格も所属も私の勝手な思い込みなので御注意下さい。
こうだったら良いな、という願望丸出しです。

多分うちのハウゼンは二十代前半で局内でも若手なんだと思います。
若いからこそ勢い余る事もあるけど、その分一生懸命。


ガブ「若いって良いよなあ・・・。」

ザル「本当になあ・・・。」

ギー「おーい。あそこの日向でジジイ共が和んどるぞー。」

ベル「あんたは気だけは若いよな。」

ギー「なんだとうっ!?」

ドレ「和んでるガブラスもステキ・・・w」

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