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青イ鳥<3>

端的に言うと兄弟事情ってやつですな。




















暑さも盛りに迫りつつある頃、ゴルベーザはリビングの壁に掛けられたカレンダーを只管見つめていた。
その背後では帰宅したガブラスがネクタイを抜きながら買い物袋をテーブルに置いた所だ。

「どうした?」
「ああ・・・いや、なんでも・・・。」
「?」

見るからに不審な行動を取った挙句に口籠るなんて、どう考えても”何でも無い”わけが無い。
ろくに考えもせずに応じてから、ゴルベーザは溜息を吐いた。

「その・・・・・・私の夏季休暇に合わせて弟がここへ遊びに来たいと・・・。」
「ああ、学生だとか言っていたな。寮生活だったか?」
「・・・・・・そうだ。」
「どうした?歯切れが悪いな。」

ガブラスの問いにゴルベーザはゆるゆると首を振った。

どうしたもこうしたもない。
ゴルベーザは一部ではあるがガブラスの家庭事情を知っている。
---------------------兄と不仲である事も。

そんなガブラスの前で兄弟水入らずに浸るのは気が引けるのだ。

「弟には外で会えば良いし、どこか近くに宿を取らせようと思うのだ。」
「何故?ここに来たがっているのだろう?」
「だがしかし、」
「俺が邪魔なら」
「そ、そうではないのだ!」

珍しく狼狽えたゴルベーザに、ガブラスは袋から材料を出していた手を止めた。
そして真っ直ぐゴルベーザを見据えた。
ゴルベーザが思わず気圧されている間にガブラスは大股で近付いて来て、目の前に立ったガブラスがゴルベーザを見上げる。
ゴルベーザは心拍数が一気に上がったのを感じた。

「お前、何が言いたいんだ?」
「な・・・何も・・・」
「では何を隠している?」
「・・・・・・・・・何も。」

予想外に近くに立たれたゴルベーザが後ずさると、ガブラスはゴルベーザを見上げたまま片眉を跳ね上げた。

「お前、ひょっとして俺に気を使っているつもりなのか?」
「・・・・・・・・・・・。」

黙り込んだゴルベーザを一瞥して、ガブラスは買い物袋の所へ戻った。
無表情な横顔が、恐い。

「そうか。お前の目にはそう言う風に映っているのだな。」
「そう言う風とは・・・・?」

恐る恐る問う。
ガブラスは能面のような面差しのまま、食料品を冷蔵庫や棚にしまい終えてから口を開いた。

「俺が余所の兄弟が仲睦まじいのを見て嫉妬する様な狭量な男に、だ。」
「違う。そうではない。」
「では何故弟の希望を無視する?わざわざ別に宿を取らせる理由は?ここはお前の家でもあるんだぞ?」
「--------------------------。」

鋭い切り返しにゴルベーザは言葉が出なかった。
それなりに口は立つつもりではあったが、どうやらガブラスには及ばない様だ。

俯いたゴルベーザは、暫く視線を彷徨わせてから目を伏せた。

「・・・・・・・・・・・すまない。そう言うつもりでは無かったんだ。」
「ならば謝る必要性もあるまい?」
「・・・・・・・・・・・・・。」

淡々とはしているが、ガブラスは怒っているらしい。
ゴルベーザはもうどうしたら良いか分からなくなった。

「その・・・・お前の前で兄弟で過ごす事は酷だと思ったのだ。」
「それで?」
「お前とて望んで兄と不仲になったわけではあるまい?何か事情があっての事だろう?私と弟とを見て、兄の事を思い出して欲しくは無かった。・・・・・お前に不快な思いをさせたくは無かったのだ。」
「今更だな。俺は既に不快だ。」
「・・・・・・・・・・だろうな。」

言葉は溜息と共に出た。
ガブラスの為に、と思った事が全て裏目に出てしまった。

「すまない・・・・・・・。」
「馬鹿め。」
「・・・・・・・ああ、分かっている・・・本当に・・・・!?」

深く俯いていて気が付かなかったが、ガブラスはいつの間にか再びゴルベーザの前に立っていた。

「弟はここに泊まらせれば良い。俺が邪魔なら俺が余所へ行く。」
「邪魔では無い。」
「なら問題は無いな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・無い。」
「宜しい。」

頷いたガブラスは漸く表情を緩めて、ちらりと壁掛け時計を見上げた。

「作るのが馬鹿らしくなったな。外へ食べに行こう。」
「分かった。ああ、今日は私が持とう。」
「ほう?それは気前の良い事だ。」

口の端を皮肉げに歪めたガブラスはもう怒っていないらしい。
表情にこそ出さなかったが、ゴルベーザは心の底から安堵した。

「詫びぐらいさせてくれ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「?」

不意に黙り込んだガブラスに、ゴルベーザはまた地雷を踏んだのかと内心慄く。

「お前、俺が怒る度に奢るのか?破産するぞ?」
「・・・・・・そこまで短気だとは知らなんだ。」
「まあその前に愛想が尽きるだろうけどな。」
「そうだろうか・・・・。」

先に外に出たガブラスの背を見ながら、ゴルベーザは呟く。

そんなわけはない。ガブラスがガブラスである限り、ゴルベーザがゴルベーザである限り。

誰かを憎んでばかりいた。恨む事が当たり前だった。
己すら憎悪しながら生きて来たゴルベーザが、初めて好きになった相手がガブラスなのだ。
どうして愛想が尽きよう?どうして不興が買えよう?

ゴルベーザがガブラスに抱くのは、ただ愛しい-------------------それだけなのだ。


もうね、武人も魔人も言葉遣いが堅苦しいので書いていて肩が凝りそうです。
そしてすっかり涼しくなった頃に夏の話ってね!遅いね!!

騎士を出す気満々で書き始めたのに思いの外長くなってしまって結局出しそびれた!
・・・次の話で出すか。

FF12小ネタ ~究極の選択?~PageTop10月なっちゃった

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