FC2ブログ

救いの手。

実はお題05は2パターン書いてどちらを使うか悩みました。
で、これがそのもう1つのお話。

なので話の内容が似ています。
ごっつい長いのも同じです。
後書に被っている部分もあります。

折角書いたから・・・という貧乏性な理由でUP。

「ザルガバース?」
「少し、時間を貰えないだろうか。」
「構わんが?」

突如訪れたと言うのに、
ガブラスは自室に快く迎え入れてくれた。

「急に済まないな。」
「いや。どうした?」

棚の中からグラスとボトルを取り出し、注いだガブラスが
促されるままソファに腰掛けたザルガバースに差し出した。

同じく酒を満たしたグラスをローテーブルに置いたガブラスが向かいに座る。

グラスを受け取ったザルガバースは口下手が災いしてか、
どう言ったら良いものか思案するも中々妙案は出て来ない。

ザルガバースの話を待つ顔は平然としているが、
その目元には濃い色の隈が入って、
良く見れば全体的に痩せた様な気がする。

9局の局員にガブラスを止めてくれと懇願されたのは
既に2日ほど前の話だった。

その時点でガブラスは数日間殆ど休みなく仕事をし、
食事もまともに摂っていないと聞いていたが、
それが続いているとなるとガブラスが幾ら頑丈でも
ただで済む訳は無かった。

「・・・ガブラス。最近、おかしくないか?」
「俺が?」
「ああ。出張から戻ってから・・・。」

ガブラスが珍しく髪を伸ばしだしたのは
総局でも話題に上って、
いつまで伸ばすのか、とか、
どんな心境の変化があったのか、等
皆口々に言い合ったが、
ガブラス本人は気紛れだとしか言わなかった。

しかし今回の出張から帰ったら
以前と変わらない髪形に戻っていた。

彼が出張している間にダルマスカ王が暗殺されるという大事件が発生し、
犯人はその場で処刑されたそうだが、
警護担当者の首が根こそぎ飛ばされたり、
ナルビナ城塞に関わる者全てに異動命令が下りたり。

事後対応に追われて公安総局もてんてこ舞いだったのは
ザルガバースも身を持って経験したが、
それでも休養は取れた。

「局員が心配している。」
「心配には及ばん。」
「では何故無理を重ねる。」
「別に。無理はしていない。」

間髪入れずに問うと、ガブラスは露骨に顔を逸らした。
己に分が悪い事は分かっているらしい。

「・・・ガブラス、何故髪を切った?」
「邪魔になった。長髪は性に合わん様だ。」

話題を変えたザルガバースにガブラスはきっぱりと答えたが、
ザルガバースは首を振った。

その答えには無理があるのだ。

長髪が性に合わないと言うのなら、
何も肩の近くまで伸ばさなくても
その前に切ってしまえば良い。

しかし、それを指摘してガブラスが素直に認めるとも思えなかった。
仮に口論になった場合、口下手な己が負けてしまうのは自明の理だ。

軽い咳払いをしたザルガバースは再度話題を切り替えた。

「・・・ラミナス王の暗殺犯だが、王の信も篤い名将だったとか。」
「らしいな。」
「国外の出身ながら将軍にまで登用してもらって何が不満だったのだろうか。」
「さあ。」

軽く肩を竦めるガブラスに、ザルガバースは眉を寄せた。
どうもはぐらかされている気がする。

何より情報社会である帝国の情報網の大元に在る9局の長が、
ザルガバースの疑問に答えられない筈が無かった。

「・・・卿と似ているな。」
「誰が?」
「そのダルマスカの将軍が。ローゼンバーグとか言ったか。」

広い部屋に、静寂が満ちた。

暫しの時が流れて。
流石にザルガバースも居心地が悪くなって来た頃、
酒で喉を潤したガブラスが口を開いた。

「俺と、どこが?」
「境遇・・・と言うのかな。国外の出身ながら国を動かす職に就いている。」
「・・・・・・・。」
「卿の様な者が早々居るとは思わなかったが・・・・・!?」

言葉を最後まで続ける前に、
ザルガバースは絶句した。

俯いていたガブラスは、嗤っていた。
口の端を引き上げて。

不自然さに気付いたのは1拍遅れてからだった。
顔立ちの、他のパーツは微動だにしていないのだ。
全くの無表情のまま、口元だけが歪んでいる。
白い歯の奥で、赤い舌がまるで自己を持っているかのように蠢くのが見えた。

その不自然な表情のまま、
それでも端正な面差が突然眼前に迫る。

ザルガバースは、驚くより先に全身が総毛立った。

蒼灰色は驚くほど澄んでいるのに、
ザルガバース自身がその中に映っているのに、
ガブラスはそれを認識していない。

焦点が、合っていなかった。

長い脚の片方をテーブルの上に乗せて、
膝に飛ばされたグラスが残った水気と共に床に転げ落ちる。

形の良い手はザルガバースが座るソファの座面に置かれて、
平素は固く引き結ばれている事が多い唇が
やけにゆっくりと、そしてはっきりと動いた。

「似ている?」
「ガブラス・・・?」
「おかしいだろう?髪を伸ばしただけなのに、
 鏡に映るのは俺じゃなくてバッシュなんだ。」
「バッシュ・・・?!」

最近聞いた覚えのある名前にザルガバースが眉を寄せる。
それは、一瞬の間を置いてザルガバースに衝撃を与えた。

バッシュ・フォン・ローゼンバーグ。
ダルマスカの名将と謳われた男。
そして。
ラミナス王暗殺犯の名だった。

「ザルガバース、俺の本名を知っているか?」
「待て、ガブラス・・・!」
「ノア・フォン・・・・」

ザルガバースは、漸く自分が地雷を踏んだ事に気が付いた。
まるで冷水を浴びせかけられたような感覚に陥ると同時に、
咄嗟に目の前で動く口を手で封じる。

しかしその手は容易く外されてしまう。
手の下から現れた口は、
矢張り三日月の様な形を浮かべていた。

「ガブラス、駄目だ!」
「ローゼ」
「それ以上は・・・!」

心拍数が上がった。
自分の心臓の音が馬鹿みたいに耳に響く。

何が駄目なのか自分でもわからない。
ただ、最後まで言わせてはならないと言う事だけは確かだった。

ザルガバースは咄嗟に、目の前の身体を掻き抱いた。

一瞬、視界の端に湖面の様な色の瞳が見開かれたのが見えたが、
はっきりと認識する前に腕の中のガブラスが崩れ落ちた。

慌てて支えて、恐る恐る視線を落としてみると、
蒼灰色の瞳は目蓋の奥に閉ざされ、
浅いが規則正しい呼吸音が繰り返される。

荒くなってしまった呼吸を整えるべく
深い溜息を吐いたザルガバースは、
呼吸に合わせて小さく上下を繰り返す肩に額を乗せると、
再度深い溜息を吐いた。


鏡を見るとそこに居るのは。

自分の姿を見る度に憎い相手の姿も否応なく見せられて
特に髪を伸ばしてからはそれが顕著で
精神状態が不安定になった所に
ダルマスカ王暗殺が止めとなって。

バッシュに報復をする事を支えに己を保って来たガブラス。
そのバッシュを陥れて、貶めて、残ったのは?

サルベージ役に何も考えずにザルガバースを選んだけれど、
何で彼なのかな・・・と書きながら自分で考えた。

多分、ザルガバースが中立的な立場と考え方を持っているからかな、と。

ドレイスだった場合、
きっとドレイスはガブラスに引き摺られてしまう。

ドレイスは前向きな人で、ガブラスに好意も持っている。
ドレイスも頑張って引き上げてくれようとしてくれると思う。

けれど、ガブラスの抱える感情は一種のブラックホール的な機能を持っていて
下手に近寄ると前向きだろうと後ろ向きだろうと根こそぎ巻き込んでしまうイメージ。
ガブラス自身もそれがわかっているから
そもそもドレイスを近寄せないかと。

その点ザルガバースは特に前向きでも後ろ向きでも無いし、
懇意にはしていてもガブラスに特別な思い入れを持っている訳でもないから、
客観的な目線からずれることは無い為、
”ブラックホール”に近寄っても安定感が崩れない。

・・・それで、かな。
まあ今回ベルガとギースは論外(笑)ってことで。

で、ザルはサルベージまではいかなくても、
辛うじてガブが”あちら側”に行ってしまう事の阻止は出来たんだと思います。

ってなわけでこっちでは救済措置を取ってみました。
あっち(お題05)が暗過ぎてね!!

拍手御礼。PageTopディシディアキャラクター一覧 

Comment

Commentの投稿

 管理人だけに表示する

TrackBack

http://gamecomic.blog27.fc2.com/tb.php/167-eaa8cfe3

プロフィール

高槻幽炎

Author:高槻幽炎
声フェチでオッサン好きのヘタレ。
ビバガブラスw

カレンダー

06 | 2019/07 | 08
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カテゴリ
月別アーカイブ
最新トラックバック
最新コメント
最新記事
ブロとも申請フォーム
QRコード

QR

リンク
投票所
RSSリンクの表示
検索フォーム