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通りすがりのお兄さん

悲喜劇シリーズですー。
でもちびノアの出番はあまりありませぬ。
今回は、シドとバルフレアがメインで。

シドとバルのやり取りも書きたかったのです。












ノアの定期健診で帝国を訪れたバッシュは、無言で目を瞠った。
廊下の向こう側からやって来るのは、見覚えのある男だ。
陸上選手もかくやと言わんばかりの見事なフォームで全力で走っている。

「やあバルフレア。」
「よう。悪いな。今はゆっくり立ち話してる暇はねえんだ。」

言いながら、バルフレアは走り去る。

気ままなバルフレアをどこで見掛けても然程驚きはしないが、
今、バッシュが居るのはドラクロア研究所の廊下である。

余り折り合いの良くない父親に何か用でもあったのだろうか。
そして平素冷静な彼があそこまで血相を変えて走って行く姿など初めて見た。

「・・・・・・・・・?」

首を傾げたバッシュに釣られたノアも同じ角度で首を傾げる。
互いに顔を見合わせていると、バルフレアが走って来た方からその親が現れた。
矢張り走って来たのか、呼吸が乱れている。

「ローゼンバーグ!ファムランを見なかったか!?」
「彼なら----------------------と、その前に今日はノアの検診なのだが?」
「ああ、検診ならばその辺の研究員を捕まえてくれ!ファムラーーーーーーンッ!!!」

息子の本名を叫びながら走り出したシドの背中を見送って、バッシュとノアは顔を見合わせた。

「どうしたんだろうね?」
「かけっこのれんしゅうかな。」
「うーん・・・それはどうだろう・・・」

子供らしいノアの応えに苦笑いをしていると、
ぜえぜえと息を切らせた何人かの研究員が走って来る。
今日の帝国は持久走大会でも開催しているのか。

そのうちの一人を捕まえたバッシュが廊下の隅に移動した。

「どうしたんだい?」
「あ、ローゼンバーグ将軍。そうか、今日は検診でしたね。じゃあ・・・移動しながら説明しますので、取り敢えず検査室へ行きましょうか。」

大きく深呼吸をして呼吸を整えた研究員が促すのに従って、
ノアを抱えたバッシュは頷いた。


磨き上げられた廊下を歩きながら、研究員はバルフレアとシド、そして他の研究員が駆け回っている理由を説明してくれた。

事の発端はバルフレアが何の気紛れか、父親であるドクターシドに飛空艇に関する話を聞きに来た事だ。
きっと、彼なりに父親との蟠りを少しでも解きたかったのかもしれない、と言うのが研究員の見解らしい。
当初、ノアの検診を控えていたシドは多忙で、最初、バルフレアを追い返そうとしたのだ。
しかし突然気分が変わったのか、戻ろうと既に部屋から出ていた使いの者を呼び止めたシドは、バルフレアを研究室まで来る様に言いつけた。

その時の表情が余り質の宜しくないもので、研究員は所長の突然の心変わりを不審と不安に満ちた様子で見守っていたのだが、現れた息子にシドは一つの試薬を差し出した。

それは、曾てジャッジガブラスが口にしたものだと分かった研究員達は焦った。
ガブラスがその後どうなったのか、知っているのだ。


ここでバッシュは出して貰ったお菓子を黙々と食べているノアを見下ろした。
どこにでもある様なクッキーだが、両手でしっかりと持って食べている姿が愛らしい。

「シドはバルフレアを小さくしてどうしたいんだろう?」
「それが・・・今度こそ自分の後継として育て直そうと思われた様で・・・」
「・・・成程。それでバルフレアは逃げ回っているんだね。」
「彼はお兄様方と比べて所長に似ていると言いますか、所長の才を一番色濃く受け継いでいる様見受けられます。手放すには惜しいのでしょう。」

今から育て直して成人するまでシドの寿命が保つのか甚だ疑問だが、まあそれは余所の家庭の事情でバッシュの知った事では無い。

予定が詰まりに詰まっているシドを研究所に戻そうと追い掛けていた研究員達は、未だぐったりと椅子に全身を預けて動かなかった。否。動けないと言った方が正しいか。
研究にばかり没頭していて、運動神経とは縁遠い研究員達に鬼ごっこは辛く、バッシュ達が来てくれて助かった、と大袈裟な程に感謝をされた。

バッシュは感謝をされる意味が分からない。
ただ、嫌な予感はした。

「それで、真に心苦しいお願いなのですが・・・」
「・・・シドを捕まえろって?」
「ファムラン様を研究所より出して頂くだけでも結構ですから・・・。」

結構、ではない。
あの剣幕と勢いの親子を見て誰が近付きたいと思うだろう。
どうせシドの事だから公安総局に連絡をして研究所の出入り口を封鎖したに違いない。
どれだけ前向きに考えても、面倒以外の何者でもない結論しか出なかった。
しかし目の前の困りに困り抜いている者達を見捨てるのも忍びない。
何よりノアの手前がある。

バッシュは深い溜息を吐いた。

「分かった。バルフレアは何とかして見せるから、兎に角検査をしてくれないか?」
「ありがとうございます!」
「さ、ノア君。検査室へ行こう。」
「とうさまは・・・?」
「大丈夫だよ、ノア。すぐに迎えに行くから。」

不安げなノアの頭を撫でてやって、抱き付いて来た小さな体を抱きしめる。
それでノアは気が済んだ様で、研究員と共に歩き出した。


「さて・・・・と。」

立ち上がったバッシュは周囲を見回した。
二人ともどこへ行ったのだろうか。
ドラクロア研究所の中は何度か出入りしているが、だからと言って詳しく知っている訳ではない。

取り敢えずバッシュは適当に歩いてみる事にした。
小動物では無いのだから案外簡単に見つかるかもしれない。


案の定。
バルフレアは簡単に見つかった。
と言うよりも、廊下を曲がったらばったり出会ったのだ。

「くそう、あのクソオヤジ、ジャッジ使って出入り口封鎖してやがる・・・!」

予想通りである。
会うなり毒づいたバルフレアに事情を説明して、兎に角ノアを巻き込まない様、重々言い含める。
そして利害関係が一致した所で、突破口をどう開くべきか相談を始めた。
ジャッジが一人二人なら強行突破も可能かもしれないが、奴らは次から次から湧いて出るのだ。
出来れば事を荒立てたくない。
しかし早くしなければノアの検査の時間が終わってしまう。

焦っても、妙案は中々浮かばなかった。



「ファァァァァムゥゥゥゥゥラァァァァァァァァァァァァン」
「ぎゃっ!?」

地獄の底から聞こえて来たのではと錯覚するほど怨念たっぷりの声に、流石のバルフレアも飛び上がった。
バッシュと同時に視線を向けてみれば、目を嫌な色に光らせたシドが息を切らせて立っている。
まだこれと言った解決策が出ていないのに、見つかってしまった。

シドが走り出す。
バルフレアがバッシュの背後に隠れる。
そして、交差した廊下から小さな人影が現れた。
気付いたバッシュが吠える。
嬉しげな笑みを浮かべた幼子は-------------------

「ノア!駄目だ!出て来てはいけない!!」
「とうさま・・・・!」

あ、と思った時には遅かった。

二人はぶつかって、シドは多少よろめいた程度で済んだが、弾き飛ばされたノアは派手に転んでしまった。
同行して来た研究員達も唖然としている。

「ノア!」

静まり返った廊下の、止まった時を再び動かしたのはバルフレアだった。
バッシュの後ろから駆け出たバルフレアがノアを起こすと、ノアは己の身に何が起こったか、分かっていない様だった。

「おい、大丈夫か?」
「・・・・・・・・・。」

掛けられた声に漸く我に返って、大きな瞳がバルフレアを見上げる。
その縁にみるみる海が広がって行く様を見たバルフレアが、手早く怪我の有無を調べた。
後で多少痣が出るかもしれないが、擦りむいたり頭を打った様子は無い。

「驚いただけだな?なら泣くな。バ-------------ローゼンバーグの息子だろう?」
「はい。」

バルフレアは少し驚いた。
ローゼンバーグの名を出しただけで、ノアの顔が引き締まったのだ。
偉い子だ、と声を掛けながら、バルフレアはノアの頭を撫でる。
しかし目は嘗ての旅仲間を見上げていた。
目に見える訳ではないが、どす黒い気の様なものを纏っている。

「ドクターシド?どういうことか説明してもらおうか?」
「チッ・・・・・・。」

不自然な笑みを浮かべたバッシュを見たシドが舌打ちをする。
ここに居ては巻き込まれる事を悟ったバルフレアは、敢えて声を張った。

「良しノア!今日は検査頑張ったから特別に俺の飛空艇に乗せてやるよ!」
「ほんとう?とうさまにきいてくる!」
「いいよ忙しそうだから。きちんとダルマスカまで送り届けてやるから心配するな。」

バルフレアの声を受けてバッシュが軽く手を振る。
これでバッシュに話は通った。
にやりと笑って、ノアの手を引いたバルフレアは駆け出した。

「あっおい待てファムラン!」
「話はまだ終わっていないのだが?」
「邪魔だローゼンバーグ!」

追いかけようとしたシドの前に、バッシュが立ち塞がる。
ちらりとその様を振り返ったバルフレアは、不思議そうに見上げているノアに思い切り優しく笑んで見せた。
バッシュには悪いが、帝国に於いてドレイスやラーサーを味方に付けたノアは免罪符になる。
脱出する目処が付いて、バルフレアの足取りは自然と軽くなった。


シドならバルフレアの教育をやり直して今度こそ自分の跡継ぎに・・・!
ぐらいは考えそうだなあ・・・と突然思い立ったわけです。
二年近く前に。
粗方出来あがっていたのに何故Upしなかったのかなあ・・・。

バルフレアはフラッと現れてフラッと消えるので、ノアの中では”見た事はあるけれど、良く知らないお兄さん”なのではないかと。

ノア「おにーさん、あしはやいねえ。」

バシュ「あれはね、逃げ足って言うんだよw」

ノア「ふーん。」

バル「何教えてんだオイコラ。」

バシュ「嘘は言っていないぞ。」

バル「真顔で言うな。腹立つなあお前。」


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